夏盛りとなってきましたが、新入社員も会社に慣れ始めた時期に、社内運動会を開催される企業もちらほら。もしも社内運動会で社員がケガしたとして、業務遂行性と業務起因性という2つの要件を満たせば、労災は認定される場合があります。それぞれの要件がどのようなものかをご紹介致します。
社内運動会で社員が大ケガ!労災は下りるの?
子供たちの運動会も終わり、次は社内運動会!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私のところに、先日このような相談がありました。
「先日、会社の所定休日に行われた社内運動会で、競技中に怪我をした従業員がいるのですが、このような休日に行われた業務とは関係ない行事中の怪我でも労災保険を使うことができるのですか?」
社内の人間同士で親交を深めるために開いた運動会で、アチャーという感じですが、実際のところ、休日に行われた社内運動会というイベントで怪我した場合、労災保険は利用できるのでしょうか?
結論から言いますと、これは業務災害として認められる場合があります。
ただし、
- 業務遂行性
- 業務起因性
という2つの要件が認められる必要があります。
この2つはどのような要件なのでしょうか?解説してまいりましょう。
社内運動会と労災を認定する2つの要件とは?
労災保険を利用できる業務災害と認定されるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件が認められる必要があります。
どのような事故で合っても、この2つが判断基準となることに変わりはありません。
業務遂行性とは、従業員が事業主の支配下にいたか否かという判断になります。
勤務時間中や出張中はもちろんですが、休日労働中も業務上必要な活動を行っていた場合は、業務遂行性があると判断されます。
つまり、業務遂行性とは、間接的でも事業主の支配が及んでいれば業務遂行性があると判断され、休日に自宅で仕事をしている場合でも、それが業務上やむを得ない場合には、事業主の支配下にあると判断される可能性があります。
行事への参加の強制性がポイントとなります。
業務起因性とは、その負傷等の原因となった事故と業務との間に、相当因果関係が有ったか否かで判断されます。
業務災害に該当するには、単に勤務時間中の事故だけでなく、その事故の原因が、業務と相当因果関係が有る必要があるのです。
例えば、ケガの内容がヘルニアを持病として抱えていたのに、敢えて運動会に強行出場し、その結果がケガということであれば、業務起因性とは認められない場合もあります。
社内運動会をやるならケガは未然に阻止しよう
このように、労災認定を受けるためには、業務遂行性と業務起因性という、2つの要件を満たさなければなりません。
休日といえど、社員が全員参加を義務付けられていれば、これは業務遂行性を満たします。
更に、社内運動会を行う目的は、従業員さん同士の親交を深めることです。
手段としての運動会に「業務起因性」を認められにくい、病気やケガをしがちな人が出るのは、極力辞めたほうがよいでしょう。
いかがだったでしょう?
身体を動かすのはとても良いことですが、くれぐれも従業員さんの間でケガがないように注意して、レクリエーションを楽しんでください。