今年の4月1日から、いよいよ電力小売の全面自由化が始まりました。ところが電力会社を切り替えた世帯は、まだ少数に過ぎません。価格の動向に対する様子見ムードと共に、電力詐欺・トラブルに対する消費者の強い警戒感があるようです。そこで電力切り替えに伴い起きやすい詐欺・トラブル事例を4つご紹介いたします。
進まぬ電力切替の背景にトラブル回避ムード
今年の4月1日から、いよいよ電力小売の全面自由化が始まりました。4月時点での電力小売事業者への登録数は280社に到達し、電気の供給がいよいよ開始されています。
ところが経済産業省の認可法人「電力広域的運営推進機関」によると、現時点で電力会社を切り替えた世帯は、東京電力管内でもわずかに1.7%しかありません。
その背景には、価格の動向に対する様子見ムードと共に、電力詐欺・トラブルに対する消費者の強い警戒感があるようです。
国民生活センターや消費生活センターなどには、消費者の方から電力詐欺に対する相談が、数々と寄せられています。
そこで、国民生活センターに寄せられている、電力詐欺や詐欺に近い相談事例を紹介し、どうすればトラブルに巻き込まれないか考えてみたいと思います。
電力切替に伴って生じやすい4つのトラブル
電力の小売全面自由化で一番多い詐欺の手口が、機械を売りつける投資案件です。
電力会社の切り替えによって、新たな機器を購入する必要はありません。
電力の小売全面自由化に便乗した太陽光発電システム、電気温水器、蓄電池等の勧誘が現在も行われています。必要性を十分に検討して判断しましょう。
また、上記のような機器や電力の新料金はいずれも、訪問販売・電話勧誘販売で申込みをした場合、契約書面を受領した日から起算して8日以内であればクーリング・オフができます。
これらのことを踏まえて、電力トラブルでありがちな4つの事例を、しっかりと確認しておきましょう。
1)抱き合わせの投資勧誘
電力の小売全面自由化に便乗した、発電設備や知的財産権などへの投資の勧誘も行われています。投資対象についてよく分からない勧誘には、安易に乗らないようにしましょう。
2)機器の取り換えの提案
「スマートメーターへの取替えだけの申込み」という案内は通常ありません。申込書に記入する際には、その申込書が何の申込書なのか、よく内容を確認してから記入しましょう。
3)マンションやアパートでまるごと業者取り換え
電気事業法は、マンションやアパートなどに入居する消費者の方が契約している電力会社について、当該マンションやアパートの管理者が変更を求める場合に、その変更に応じることを義務づけておりません。電力会社の変更については、契約条件などを十分にご確認の上、検討することをお勧めします。
4)複数の電力会社へ申し込んでしまった
複数の電力会社に切替えの申込みをしてしまった場合、希望の切替え先でない電力会社の方に切り替えられることになるなど、トラブルが生じる可能性があります。切替え先を変える場合には、先に切替えの申込みをした電力会社に必ず連絡し、申込みの状況を適切に管理することが重要です。
不審点があった場合はすぐに公的機関へ相談を
いかがだったでしょうか?
コストダウンを図り、節約するつもりだったはずが、思わぬトラブルに巻き込まれてしまえば、かえって面倒なだけです。
各社の提案を入念にリサーチし、事前知識を得た上で、切り替えを検討する必要があります。
また、電気の小売供給契約を締結する際に、不審な点があった場合は、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(03-3501-5725)または最寄りの消費生活センター(局番なしの188(いやや))に相談しましょう。