コンビニ大手3位のファミリーマートがサークルKサンクスと経営統合し、今後どのような店舗作りを行うかに注目が集まっています。業界第一位のセブン・イレブンと比較した平均日販には大きな差が生じています。この元凶は商品開発力にあるため、まずは規模の経済性を活かしたPBの拡充が予想されます。更には店舗運営業態の多様化も既に検討されているようです。プロが解説します。
2016年9月にファミマとサークルKが経営統合
昨年からの大きなニュースとして、ファミリーマートとサークルKサンクスを抱えるユニーグループ・ホールディングスの業務提携が進んでいます。
コンビニ業界は『戦国時代』とも呼ばれ、セブン・イレブン、ローソン、ファミリーマートの店舗数拡大争いがこれから更に激化してくる模様です。
ファミリーマートはサークルKサンクスとのブランドの1本化を発表し、今後、ファミリーマートへと3年間の間で看板が変わるようになることも発表されました。
今回のコラムでは、ファミリーマートがユニーグループと統合後、どのような店舗づくりをすると予想されるか、お話していきたいと思います。
業界2位以下のコンビニチェーンが抱える課題
コンビニ業界は、『空いてて良かった』という24時間営業の強みを活かして、店舗数を拡大し、売上を上げてきました。
更に公共料金の取り扱いや荷物の受け取り等ができるようになり、銀行ATMも店舗へ設置するなどして、地域のインフラとなってきています。
そこで、キメ細かい出店が必要となり、各社が店舗数を拡大し、シェアの争いが激化するという経緯を辿っています。
そこでローソン、ファミリーマート共に、4位以下のコンビニエンスチェーン本部と業務提携を図り、店舗数の拡大を図っておりますが、それだけで、目的が達成されるわけではありません。
業界1位・セブン・イレブンの存在が、あまりにも大きいことが背景にあるからです。
今回の経営統合により、セブン・イレブンに匹敵する店舗数を保有することになるファミリーマートですが、店舗数がセブン・イレブンを超えたといっても、チェーン全体の売上がセブン・イレブンよりも上回るということでありません。
なぜならセブン・イレブンとそれ以外のチェーンでは、1店舗あたり平均日販が大きく違うからです。
セブン・イレブンの平均は約65万円と言われ、ローソンが約55万円、ファミリーマートが約52万円と言われています。
更にサークルKサンクスは約43万円と言われており、セブン・イレブンとの平均日販の格差は10万円/日以上となっております。これはあくまでも1店舗当たりの1日の差です。
これに365日を掛けて、店舗数を掛けると、チェーン全体としては、非常に大きな差が出てくることが予想されます。
この売上を経営統合後、店舗数が同程度となったとしても、ファミリーマートは追いかけて行かなければならない宿命を背負っています。
なぜこのような平均日販の差が出るのか?それはズバリ商品開発力に大きな差があるからです。
セブン・イレブンの強さは、店舗数もさることながら、圧倒的な自社工場による商品開発力であるともいえます。つまり、数の力を活用したスケールメリットを活かして、商品開発や設備の導入等を進めているのです。
その大きな商品開発の結果となるが、PB(プライベートブランド)になります。
ファミリーマートについても、今後はPBに力を入れるべくセブン-イレブン同様の戦略を取ることが予測されます。
つまり、経営統合後は、ファミリーマートの看板のブランドを統一化し、数のスケールメリットを活かして、飲食料品メーカー等と商品開発を行い、ファミリーマートのPB商品開発に力を入れていくことになります。
従って、現行のサークルKサンクスの店舗にファミリーマート仕様の設備が導入され、ファミリーマートのPB商品が並ぶ比率が高まることが予測されます。
そうすることで、お客様のニーズの変化に対応し、質の高い商品を提供し、平均日販を上げる取り組みに繋がります。
また、新しい業態のスーパーやドラックストア、調剤薬局、カラオケ等一体型店舗も検討されている模様で、新たな業態となった店舗が既存の店舗に併設や新規で誕生してくることが予測されます。
統合によって起こる障害を乗り越える必要あり
経営統合は、ブランドが一本化し、商品開発力が上がるというメリットだけではなく、大きなデメリットも生じさせます。
それは、これまで競合であったファミリーマートとサークルKサンクスの店舗の位置関係が、障害として上がってくるということです。
ファミリーマートに看板が一本化されるということは、近隣のサークルKサンクスもファミリーマートに変わり、同じ商品の取り扱いが始まります。
そうするとカニバリ(商圏の食い合い)を起こし、既存店に影響を与えかねないという問題です。
コンビニ業界はフランチャイズシステムを導入しており、既存店のほとんどは、別の事業主が運営をしております。
そうすると、既存のオーナーさんにとっては、死活問題となる可能性が出てきます。
そのため、サークルKサンクスの店舗の閉店も発生することが予測されます。
既存の事業主は、新たな形で移転をするケースが多いでしょうが、これまで近くあったコンビニエンスストアが突然閉店するということも発生してくるのです。
まとめ
今回は、ファミリーマートとユニーグループの経営統合を事例にお話を致しましたが、ローソンとの業務提携についても同じ課題を抱えており、コンビニ業界は再編の時代となっております。
各社は、プライベートブランドの時代の変化への改善と質の改善につなげてくることが予測されます。
今後も各社の動きに注目をしていきたいと思います。
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