コーヒーチェーン世界最大手の米スターバックス社が、先週中期成長計画を発表した。収益拡大に向けて、アメリカ国内数千店舗でアルコールや夜食の販売を開始するという。日本でもコンビニやファストフードの「バル化」が始まっており、空間を異業態で効率的に活用し、収益を拡大させるトレンドが来年本格的にやってくるだろう。
スタバで乾杯!?カフェの巨人が新たな一手
コーヒーチェーン世界最大手の米スターバックス社が、12月4日(木)に中期成長計画を発表した。収益拡大に向けて、アメリカ国内約3,000店舗(全店計19,000店舗)でアルコールやディナーメニューの販売を開始するという。また、ランチメニューを拡充し、スマホ等デバイスを利用した便利な注文サービスを打ち出すことも計画内に盛り込まれたようだ。
2014年現在、約60の国で総額1兆円を超す売上高を誇るスターバックス本社も、インターネットの普及に伴う実店舗への客足鈍化に危機感をいだいており、「カフェ業態」というゾーンから「飲食店」ゾーンへと足を伸ばして、外食のシェアを取り込むのが目的とみられる。
スターバックスの日本における売上高は2014年3月期で約1,250億円あり、世界で2番目に大きな市場だ。遅かれ早かれ、日本でもカフェのみならず飲食業態を併設した店舗運営へシフト・チェンジが予想される。
実店舗に広がるバル化現象 日本は先進国
スターバックスより一足先に、日本ではコンビニエンスストアやファストフード店がプチ・バル化により顧客の囲い込みを始めた。
いわゆる「コンビニ・バル」の出現である。
需要は仕事終わりの「一人飲み・ちょい飲み」であり、異業種であっても実店舗があれば参入障壁が低いため、大手コンビニやファストフード店が今年から試験的に運営を開始したのだ。
例えば、吉野家は首都圏14店舗で「吉呑み」という業態により、アルコールと酒のツマミを提供する店舗を開設した。夜の時間帯にガラガラとなる店舗の二階へ人を誘導し、サラリーマンのちょい飲み需要をターゲットとし好評を博している。
また、コンビニエンスストアも「カウンターキッチン戦略」に基づき、イートインコーナーの設置を急いでいる。
ミニストップ新業態「cisca(シスカ)」は夜の女子向けちょい飲みに対応する。
特に今年9月に東京日本橋でミニストップがオープンした新業態「cisca(シスカ)」は200種類以上のワインを揃え、購入したおつまみを皿に盛りつけて出すサービスまでしてくれる。もちろん通常のコンビニ使いも可能だ。
大手に広がる既存資源を活かす収益拡大策
実はスターバックスも日本国内3店舗(二子玉川、下北沢、池尻大橋)でアルコールを提供する店舗を開いている。「inspired by Starbucks」というブランドだ。いずれもハイセンスな店舗の作りをしており、今後のスターバックス他業態運営シフトのテストマーケティングを行う場所と言えよう。
「inspired by Starbucks」は今後のスターバックス他業態シフトの実験基地と言える。
2015年はこれら実店舗同士の生き残りをかけた競争が益々激化する。それぞれ既存の不動産資源を活かし節約しながら、効率的な収益拡大が求められている。
誰が栄冠を手にするか分析することで、経営者にとっては効率的に企業を拡大させるヒントが得られるかもしれない
コンビニバル戦争から目が離せない。
※1 Starbucks Corporation Financial Release
http://investor.starbucks.com/phoenix.zhtml?c=99518&p=irol-newsArticle&ID=1995015