「マーケティングオートメーション(MA)」というITツールを導入して、業績を飛躍的に伸ばしている企業が増えているのをご存知ですか?MAを利用すると、主に手間のかかる業務の自動化が図れると同時に、自社製品に興味を持つ見込み客をターゲットに定めて営業できるため成約率が驚異的にあがるなど、マーケティング・営業活動を飛躍的に効率化できます。クレストという看板制作会社の事例を見てみましょう。
マーケティングオートメーションでコスト削減
私は現在、「マーケティングオートメーション」(MA、以下「MA」)とよばれる、ITツールの導入・運用のための企画・設計・構築の業務を主にやっています。
「MA」は、オートメーション(自動化)という表現からおわかりいただけるかと思いますが、マーケティング活動を「自動化」してくれるものです。
もちろん、すべてを自動化してくれるわけではありません。
MAができることは、例えば、検索エンジンに上位表示される効果的なブログ記事の作成を簡単にしたり、手間のかかる複雑な手順や、逆に単純作業的な業務をあらかじめプログラムしておくことで、あとはお客さまとのコミュニケーションを自動でやってくれる、といったこと。
したがって、MAを導入することで人手のかかる業務が軽減でき、コスト削減につながります。すなわち、「マーケティング活動の効率化」が可能になるのです。
さらに、法人向けの事業を展開している企業、すなわちBtoB企業においては、MAの導入はマーケティング活動の効率化だけでなく、「営業活動の効率化」に大きな効果があります。
MAによるマーケティング活動の効率化とは、前述したように主に手間のかかる業務の自動化によるものです。
しかし、営業活動においては、同じ営業活動の成果として得られる「面談アポ獲得率」や「案件化率(実際の提案や見積もり提出につながる率)」、「成約率」が大幅に向上することによる費用対効果の向上がMA導入によって達成できるのです。
MAツール導入で成約率5倍達成したクレスト
今回は、優れたMAツールのひとつである「Marketo」を導入して大きな成果を上げているBtoB企業、株式会社クレストの取り組みを簡単にご紹介します。
同社は、店舗の看板やディスプレイ関連のデザイン、設計・施工等を主力事業とする会社です。過去、累計4,000ブランドとの取引実績がありますが、とりわけファッション関連企業のほとんどと取引しているとのこと。
さて、同社は従来「コールドコール」、すなわち営業パーソンが見込客全員に電話をかけまくって面談アポを取り、案件化し成約に持ち込むという典型的な営業スタイルを採用していました。
その効率を数字でみていくと、コールドコールをかけた見込客のうち面談アポが取得できた割合は18%。そして面談後に案件化する率、すなわち提案に持ち込めた割合は10%。そして成約率は7%というものでした。
これらの数字は電話主体の営業活動としては比較的優れた成果ではあります。
しかし、Marketoを導入後、同社はWebサイトを充実させ、ブログ記事なども継続的に更新。
MAツールでは、見込客のWebサイト上での閲覧行動を詳細に把握できますので、営業パーソンは無差別に電話をかけることをせず、Webサイトに訪問しており、同社のサービスに対する関心や利用意欲が高まっていると推定される見込客に絞って電話をかけるようにしています。
この結果、全見込客のうち、電話をかける割合は60%となりましたが、面談アポ取得率はなんと50%に改善、案件化率は42%、成約率38%と、驚くべき成果向上を達成することができています。
この大幅な成果向上の背景には、MAを活用してタイミングのよい営業活動に直結させている点があります。
見込客が同社Webサイトを閲覧したり、同社制作のYoutube動画を再生した場合、すぐに担当営業に「XX社のYYさんがZZのページを閲覧しています(あるいは●●動画を再生しています)」といったアラートメールが飛びます。
そしてアラートメールを受け取った担当営業は、社内デスクに座っていようが外出していようが、すぐさまその見込客に電話を入れるのです。営業担当者はもちろん偶然を装うのですが、電話をもらった見込客は驚きます。「ちょうどおたくの動画見てたところだよ」と。
更に同社がすごいのは、アラートメールを受け取った瞬間、その見込客のオフィスがすぐそばにあったら、その場で直接訪問することになっていること。
見込客は突然の訪問にびっくりしつつも、同社のWebサイトを見ていたということは、なんらかのニーズがあってのこと。「ちょうどいいところに来たね、実はさ・・・」とすぐさま案件化するケースもあるそうです。
MAツールの導入は社員の士気向上にも貢献
こうして、MAの導入によってクレスト社は営業活動成果の向上、すなわち効率の高い営業を実現できたわけですが、同時に、MAは営業担当者にとってはモチベーションの上がるツールなのです。
見込客の関心の高まりをWebサイトや動画の閲覧行動からキャッチして連絡するわけですから、無碍に断られることが減る。
面談数も増えるし、案件化率、成約率も高まるわけですから、大いに士気が上がります。同社のある営業マンは「Marketoの入っていない会社には転職できませんね」とつぶやくくらいだそうです。
MarketoをはじめとするMAツールは2015年に大きな注目を集め、今年も引き続きマーケティング業界におけるメインテーマとなっていくことは間違いありません。
マーケティング活動を効率化したい、また営業活動の成果向上を図りたいとお考えの方はMAツールについて研究なさってはいかがでしょうか?
なお、Marketoを導入したクレストの事例の詳細を知りたい方はこちらからどうぞ
⇒ Marketo エンゲージメントマーケティングセミナー 2015