こんにちは。あおば会計コンサルティングの田中です。
ダイエットジムで有名なライザップの決算が5月に出まして、実に193億円の赤字が出ました。それでもまだライザップさん側は、V字回復すると言ってはいます。
そこで実際はどうなんでしょうか?という点について、会計屋の観点から考えてみました。
193億円赤字決算のライザップはV字回復できるか?
ボロ会社を買収して次々と姿を変えていくライザップ
ライザップと言えば、最初はおからクッキーを販売する会社でした。
そこから、広告費使いまくりのダイエット会社というイメージになり、その次はボロ会社も買って買って買いまくって、逆のれんと言いますが、会計上のトリックをつくって利益を積み増してきたっていうイメージを私は強く思っております。
何が言いたいかというと、私はライザップの決算だけは毎回信用できないと考えています。
経営のプロであるカルビーの松本さんも6月くらいで経営を離れてしまいますので、また昔の体質に戻るのではないかと思っております。
ライザップの連結決算
ライザップの連結決算ですが、キャッシュは422億円あります。
営業債権が334億、棚卸資産は361億円と、ここは去年とほとんど変わっておりません。
のれんに関しては若干減っていますから、基本的にはもう逆のれんの会計上のトリックは使えない状態です。
さて負債の部をみていくと、現金預金は420億円ですが、営業債務が374億円あります。
しかし、営業債権も同じくらいありますので、そんなには問題ないかなと思います。
あとは有利子負債です。これは短期借入金と思っていいですが292億円あって、長期借入金が334億円あります。
ライザップの収益は大赤字
更におカネの面で心配が残ります。収益の話ですが、収益は連結で2220億円出ています。
ただし、粗利が982億円に対して、販売費及び一般管理費が978億出ていますから、結局粗利分を全部食っちゃっています。
営業損失では93億円、それから金融費用が31億円。
借入金の割には、この金融費用が多いなと思ったのですが、多分増資をするときの手数料を払ったのかなと思います。
それから、継続事業で140億円の赤字を出していますが、非継続事業の方で76億円の損失を出していますから、合計210億円の損失です。
ただ、株主の持ち分もあって、結果的にはライザップグループでは193億円の赤字を計上してしまったという話です。
増資はキャッシュフローを維持するため?
今度はキャッシュフローを見ていきましょう。
キャッシュフローは去年は長期借り入れによる収入というもので辻褄あわせていましたが、じゃあ今年はどうかというと、株式の発行の収入で354億円計上しています。
結局、やり口としては逆のれんをうまく使って、利益が90億円くらい上がったことにして、そこで株主に対して増資します。
今の株式は分割して1/2になっているのではないかと思いますが、増資した時の株価は800円ちょっとでした。
そして、その調達した350億円でキャッシュを何とか確保しておきながら、現在の株価(6月4日時点)は3分の1ほど落ちた230円くらいなので、1年も経たないうちに3分の1になってしまったという感じです。
株主にしてみると、都合よく出汁に使われた状況かなと思います。
ウミは出きっていないので業績のV字回復も難しそう
カルビーの松本さんも抜けたわけですし、この先どうなるか分からないということで、銀行の方もみずほがメインバンクですが、自分1行ではコミットメントラインなどで融資枠はもちたくないので、他の銀行さんと共同でやるパターンになっています。
はっきり言うと、この状況では誰からも信じてもらえない会社となってしまっています。
話は戻りますが、継続事業からの損失が140億円あるわけです。
それで損切り分を除いて、決算発表ではV字回復できると言っていますが、会計屋から見るとどう見てもウミを出し切ったとは思えません。
ですから、ライザップグループというのは、ごまかしごまかしばかりで、会計のトリックを使いすぎたので、信用されていませんし、本業のV字回復もないのではないかと、今でも信用おけない会社だと感じています。