中小企業がブラック社員から会社を守る方法

労務

みなさん、こんにちは。組織活性化プロデューサーの南本です。

一時期はやったキーワードに「ブラック企業」というものがありましたよね。

実際に、いろんな企業の労務を見せていただいていると、「ブラック企業」と同時に、「ブラック社員」も存在します。

そこで今回は、「中小企業がブラック社員から会社を守る方法」について解説します。

中小企業の経営者は、彼らとのトラブルを未然に防ぐためにどうすればいいのでしょうか?

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「ブラック社員」を未然に防ぐ

「ブラック社員」とは

「ブラック社員」をウィキペディアなどネットで調べてみましたが、載っていません。このような言葉の定義などないからです。

そこで、私なりに「ブラック社員」を定義してみました。以下の通りです。

「組織の一員として、組織目標に向かって一丸となって業務を遂行しなければならない立場でありながら、会社に不平不満を持ち、また他者に吹聴し、労働者の権利のみを主張し、組織を混乱させるもの」

「ブラック企業」が世の中に沢山あるのは事実ですが、その逆も然りです。

「ホワイトな会社」であろうが、「ブラックな会社」であろうが、「ブラック社員」は存在します。

企業にとってみれば、そのような社員は最初から入れないのが1番の抑止力ですが、もし入ってしまったらどうするかが悩ましい部分です。

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「ブラック社員」5つのタイプ

まずは「ブラック社員」の特徴をわかりやすい5つのタイプに分類してみましょう。

「入社後あばれる型」

これは結構多いですね。入社してすぐ本領発揮で権利ばかり主張して、やることもやらずに暴れていくというタイプです。

「経歴詐称型」

履歴書を見るとすごくカッコイイことがたくさん書いてあるんです。

マネジメントで部下は何人もいて、こういう立派な仕事をしました、といった履歴書を書いて、入社してみたら使えないような人もよくいます。

「警察お世話型」

小売店の店舗でいわゆるレジ金を奪ったり、暴力を起こしたり、スマホで撮って、ネットにアップする「名ばかりアルバイト」のように、警察にお世話になるような事件を犯している「警察お世話型」です。

本当に世の中をなめているだけの場合と、生活に困窮してお金を盗んでしまったという場合が典型的です。

「猫の方がまし型」

猫の手も借りたいと言うのに、まったく仕事の要領や段取りができない、いるだけで邪魔といった人がたまにいます。

これもブラックな社員です。

会社にとってみれば、すごい成果を上げてくれると期待して雇ってみたのに、「猫の方がまし型」だったらどうしようもありません。

「スマイルなりすまし型」

一番怖いのは「スマイルなりすまし型」です。

社長の命令に対して、「はい、わかりました。」「了解です。」とか言いながら、2年間くらい働いた後で笑顔で辞めていって、「残業代不払い」なので払えと出てくるんです。

こういうタイプは怖いです。

私の知る限り、「ブラック社員」はこのような5タイプに分けることができます。

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「ブラック社員」を早期に見分けて縁を切る方法

どうしたら早い段階でブラック社員と縁を切ることができるのでしょうか?についても考えてみましょう。

試用期間を長くとる

どうやったら会社を守れるかというポイントとしては、「試用期間を長くとる」ことです。

判例では試用期間は6か月ぐらいですが、ほとんどの会社の就業規則を見ていると試用期間は3ヶ月です。

試用期間は、なるべく延長できるように長く設定していったほうがよいでしょう。

入社した社員の中に、「あばれる君」がいたとしても6ヶ月で辞めていただくことができます。

不当解雇はダメですが、試用期間があれば、解雇のようなことがしやすいということです。

本当に悪いことをして、試用期間中に全く使い物にならないときに、解雇できる権利が会社にはあるということです。

この期間を超えると無期社員になってしまいますので、いろいろな理由をつけても辞めていただくことが難しくなります。

入社後7日で目利き

入社後7日で目利きというものが労働基準法で定められていて、入社後7日以内であれば、解雇予告をしなくても辞めていただくことができるというルールがあります。

ただし解雇予告手当を1か月分支払わないといけません。

最初に入社して慣れるまでは自由にやっておいてくださいといったように野放しにして、パワハラはダメですけど、7日でものすごいカリキュラムを組んで、圧迫的な指示指導に対して、耐えられるかを目利きして、この人はダメだなあと思ったら、もうやめていただくぐらいの仕組みを作ったらどうですかというのが私の提案です。

ちなみにこれをやってる会社はほとんどいないです。

厳しい制約書へサインする

会社として、やってほしくないことを20、30個決めて、誓約書にサインする。

これは法的には効力はほとんどありませんが、自分が署名したという牽制効果はあります。

入社面談時に実技演習をする

経歴詐称を見分けるためにも、実績の演習、ロールプレイングを面談の時にやっていただくことです。

または、面談した後、採用する前にもう1度呼んで、過去のマネージングのエピソードを教えてくださいとか、小売店、飲食業であれば、台所を貸しますので、料理してみてくださいとか、演習をさせないといけません。

以上のようなことをしておけば、ある程度はブラック社員から会社を守れるのではないかと思います。

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「ブラック社員」を未然に防ぐ実践術

ここからは、会社を守るための実践術をご紹介します。

試用期間を長く取ること

先ほども言いましたが、「入社後あばれる君」と「警察お世話方」を未然に会社へ入れぬよう、試用期間は長く取りましょう。

入って3か月、それからさらに3か月延長できるように試用期間を設定して、様子をみましょう。それでダメだったら解雇していくということです。

最初は契約社員で契約して、会社で禁止事項を羅列した誓約書を締結していきましょう。

面接時には暴れるかどうかはわからないと思うので、こういうルールで最初に誓約書を書いておくというのが一つの方法かもしれません。

退職証明書を求める

「経歴詐称型」の対策として、中小企業の社長さんに覚えておいてほしいことがあります。

入社させる時に会社側は前職の退職証明書を求めることができます。

「前の会社に行って退職証明書をください」と言ったら、求職者は退職証明書を発行しないといけません。

退職証明書には、どういうポジションだったか、退職理由も明記する必要があります。

履歴書が綺麗すぎると思ったら、「前職の退職証明書を取ってきてください」と言ってください。

そうすると、自分の履歴書を正しいと思う人は証明書を持ってきますが、詐称している人は退職証明書をもらえないので逃げていきます。

ロールプレイングをしてもらう

たとえば、あなたが飲食店を経営しているなら、「一流料理店でコックとして有名になった」といった経歴が書いてあっても、少し実技をさせたり、ロールプレイをしていただくという工夫をしてみるのが良いでしょう。

「猫のほうがまし型」には成長到達目標を設定する

会社として成長してもらえればいいですが、成長しなかった場合に会社としてどう対応していくか?という成長到達目標を労働者と会社が共有しましょう。

「ウチの会社で6か月後にほとんどの人がこのレベルまでできるようになっているので、あなたも6か月後にこのレベルまでできるようになっていましょう」という目標を共有しておきましょう。

到達できなければ、面談と指導を2、3回繰り返して、本当に駄目だったらもう断腸の思いで辞めていただくという対応をしていくしかないと思います。

厳しいですけれど、「猫の方がまし」タイプの社員は、本当に何も成果を出せません。

「スマイルなりすまし型」の残業代不払い問題

「スマイルなりすまし型」は一番厄介なタイプです。

辞めた後に事件が発覚するので、会社としては寝耳に水のような状態です。

よくあるのは残業代です。

残業代のような賃金債権は、2年間さかのぼって支払わなければならないという労働基準法があります。

残業の多い会社に限って勤怠管理ができてないので、本人がノートに23時まで働いたとか、22時まで働いたとか2年間メモを取っています。

それを労基署に刺されたら、もう会社はどうする術もありません。

私の知っている企業さんも2年間遡って残業代を取られました。これは、正直、管理できていない企業も悪いですよ。

時間外にLINEで連絡を取るのは残業にあたる

もう1社の残業代未払いの事例は、LINEのような便利なツールでの事例です。

本人が24時頃にLINEで報告を上げてきて、それに対して上長がLINEに送信すると、そのやりとりがLINEに記録が残ります。

そうなると、実際には18時以降何もしていないかもしれなくても、その日は24時頃に報告を上げ、上司も報告に答えているから、これは業務命令にあたり、24時頃まで労働させられていたといった話になるわけです。

ですから、そういったことにならないように対策を打たないといけません。

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トップダウンで残業をなくし、生産性を上げる仕組みをつくること

勤怠管理の電子化も必要ですが、残業をさせないで早く帰らせるようにするということです。

これは、もう本当に当たり前の話ですね。

残業代はきちんと管理し、きれいに支払う

そして、残業代はきっちりと精算するということです。

これも、当たり前の話ですね。

そうしておかないと、先ほどのように2年間遡って支払うなど会社の経営が危なくなります。

例えば、基本給の中に、固定残業分の組み込みといった給与体型も構築できますので、そういうものも検討していただきたいと思います。

そして、午前様にLINEやメールを打たないことです。

既読になって、記録が残ると、それはもう業務の一環と労基署は認めますので、絶対このようなことはやめてください。

トップ自ら生産性を上げる

一番怖いのは、この「スマイルなりすまし型」だというお話をしましたが、現場で見ると本当に怖いんです。

今、「労働時間を短くしよう」「生産性をあげよう」という動きがあります。

社長自らトップダウンで本当に労働時間を短くする、そして生産性を上げるような仕組みをどんどんと入れていかない限り、人件費のなりすまし社員のようなことで火だるまになりますので、ブラック社員から会社を守るために奮闘してください。

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南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

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