「顧客ロイヤルティ」とは、ひとことで言えば、「お客様が自社商品を愛顧してくれている度合い」です。顧客ロイヤルティを向上するための2つの大きな方向性としては、「顧客満足向上」と「顧客労力低減」があります。特に顧客労力低減を実現することは難しく、お客様が商品自体には満足してくれていたとしても、お客様にしなくても済む労力を強いると、総合的な顧客ロイヤルティは低下し客離れを生じます。
顧客ロイヤリティとは顧客の愛顧度合い
今回は、私の専門分野のひとつである「顧客ロイヤルティ」についてのお話をしたいと思います。
「顧客ロイヤルティ」とは、ひとことで言えば、「お客様が自社商品を愛顧してくれている度合い」です。ここで、自社商品を“愛顧してくれている”という表現には、「心理的側面」と「行動的側面」の2つの側面があります。
まず、「心理的側面」については以下のような状態を指します。
- ・その商品(会社)を信頼している
- ・その商品(会社)が好きだ・愛している
一方、「行動的側面」は以下のような状態を指します。
- ・その商品を繰り返し購入している
- ・その商品が競合製品よりも価格が高くても購入する
- ・その商品を友人・知人等に積極的に勧める
商品によっては、他に代替商品がないため、「好きではないけど、仕方なく購入している」という場合がありえますね。あるいは、「安いから買っているだけ」というのもあります。
逆に、「その商品のことは好きだけど、なんらかの事情で購入はしていない(できない)」といいう場合もありえますね。実際、ある高級ブランドは、その人にとって憧れの存在だけど、お小遣いが足りないので買えない、というケースがあるでしょう。
顧客ロイヤリティを向上させる2つの視点
このように、「心理的側面」と「行動的側面」が必ずしも一致しない場合もあるものの、基本的に「顧客ロイヤルティ」とは、当該商品に対して、心理的にも行動的にもポジティブな状況であるのが理想です。
そして企業が目指すのも、そうした理想的な状態の顧客ロイヤルティの向上でしょう。
ひらたく言うと、自社製品のことを好きと言ってくれ、かつ、競合商品の中から優先的に選んでくれて、継続的に購入し、また友人知人に推奨してくれるお客さんを増やしたい、ということ。
これが「顧客ロイヤルティ」の向上であり、そのためのマーケティング活動のことを「顧客ロイヤルティプログラム」と呼びます。
「顧客ロイヤルティプログラム」の具体事例はこれからいろいろと紹介していくつもりですが、今回は、顧客ロイヤルティを向上するための2つの大きな方向性を示しておきます。
その2つの方向性は以下の通りです。
- 1:顧客を満足させる →顧客満足向上
- 2:顧客の不満を解消する → 顧客労力低減
まず、「顧客満足向上」ですが、これは既に、多くの企業がなんらかの形で追求しているかと思います。
ただし、単純に「満足」してもらうだけでは、おたくの商品が好きだ、また、繰り返し購入したい、友人・知人に勧めたいということにはなかなかつながりません。
満足を超えた感激・感動体験を与えること目指す必要があります。近年、感激・感動体験を与えることができている商品の代表例は、やはりiPhoneやiPadといったApple製品でしょうか。
次に「顧客労力低減」ですが、これにはあまり力を入れていない企業が多いかもしれません。
顧客労力低減とは、言い換えるとお客様の手間、コストをできるだけかけさせないということ。要するにお客様の時間、手間、コスト節約に貢献するということです。
例えばコールセンターへの問い合わせたを事例とするならば、
- なかなかつながらず何度もかけなおししなければならなかった
- あちこちの部門にたらいまわしされた
- 電話に出た相手が知識不足で、結局問題は解決しなかった。
こうしたことは、お客様に無駄な労力を強いていることになりますね。
お客様の多くは、こうした扱いを受けても「まあ仕方ないか」と我慢してしまいます。そして貴社が知らないうちに黙って去っていくのです。
顧客満足を向上させ顧客労力を低減させよう
商品は優れていて、お客様が商品自体には満足してくれていたとしても、アフターサービスなどで、お客様にしなくてもすむはずの労力を強いると、総合的な顧客ロイヤルティは低下します。
ですから、顧客ロイヤルティ向上を目指す場合には、いかの2つを同時に追求するようにすべきなのです。
- 1:顧客を満足させる →顧客満足向上
- 2:顧客の不満を解消する → 顧客労力低減
なお、顧客満足を測定する方法として、世界的に有名なものに「NPS:Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)というものがあります。
また、顧客の労力の度合いを測定する方法として最近、企業の採用が進んでいる指標に「CES:Customer Effort Score(顧客労力スコア)というものがあります。
「NPS」、「CES」についても、また別記事としてご紹介いたしますのでどうかお楽しみに!