TPP日・米 VS 中国 インドネシアが勝敗の鍵を握る理由

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 世界全体で生み出されるGDP73兆ドルに対して40%のシェアを持つ世界最大規模の自由貿易協定であるTPPは、参加国の経済成長を促す効果が期待されています。一方で参加していない国、特に中国にとってTPPの発展は面白いものではありません。TPP加盟国と中国のどちらに着くか、その去就に注目が集まっているのがインドネシアです。なぜ両陣営がインドネシアを重要視するのか解説いたします。

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TPPの原案が大筋合意 巨大FTAが発足する

 2013年に日本がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加してから2年が経過し、今月初旬の閣僚級会議でついに原案の大筋合意が取り付けられました。

 アメリカ・日本をはじめ、参加する12ヵ国は、オーストラリア, ブルネイ, カナダ, チリ, マレーシア, メキシコ, ニュージーランド, ペルー, シンガポール, ベトナムといった太平洋を取り囲む国々です。

 加盟国のGDP総計28兆ドルはヨーロッパ連合のGDP16兆ドルを遙かに凌駕し、2020年には34兆ドルを生み出す自由貿易協定(以下:FTA)へ発展することが予想されています。

 世界全体で生み出されるGDP73兆ドルに対して40%のシェアを持つ世界最大規模のFTA圏域内でヒト・モノ・カネの動きが活発になり、参加国の経済成長を促す効果が期待されていますが、その一方で参加していない国にとってTPPの発展は面白いものではありません。

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対中国政策を大きく左右するのはインドネシア

 一番不愉快な気持ちを抱いているのは、間違えなく中国です。中国政府は2010年前後のTPP構想段階では参加に関心を示して米国との交渉も行っていましたし、上海自由貿易試験区の建設など、関税撤廃や自由貿易に向けた動きを見せていたからです。

 しかし「中華」よろしく、覇権を握れない経済機構となることが明白になるや、中国はAIIBの設立など独自の経済圏を築く方向へ動き始めました。これで完全に「日・米」対「中国」の経済的な対立構図が浮き彫りとなりました。

 ここで両陣営にとって、今後の行方を担う上で大きな鍵を握る国があります。

 それはインドネシアです。

 インドネシアのGDPは日本の4分の1程度しかありませんが、人口は2倍にあたる2億4,000万人を抱えます。

 また同国経済の成長速度は著しく、恵まれた農業・鉱業資源の輸出を背景に、2001年から2009年の8年間で名目GDPはなんと3倍に増え、次の5年で更にそこから倍増させることすら成功させています。

 好調な経済発展を基盤に、インドネシアは既に資源輸出国から輸入国に変化しており、人口は2050年までに3億人を超える消費大国になるという予想も出されています。

 東南アジアにおけるパワーバランスへ大きな影響を与えるインドネシアが、「日・米」対「中国」どちらの陣営に着くかで、両者の戦い方は大きく変わることが予想されます。

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インドネシアの動きはTPP未加盟国にも影響する

 日本はこのような事態を受けて、11月に自民党・二階総務会長を団長として、およそ1000人からなる大規模な訪問団とともにインドネシアを訪問し、経済分野の関係強化をPRします。

 インドネシアのTPPに対する現時点での反応も、レンボン貿易相が10月9日に、2〜3年内に加盟交渉へ参加する準備があると発言するなど、前向きな動きが出ています。

 一方で、中国も10月初旬にインドネシアの高速鉄道受注について、先に交渉を有利に進めていた日本を出し抜いて受注を取り付けるなど、インドネシア国内の経済へ影響を及ぼし始めています。

 インドネシアはASEAN(東南アジア諸国連合)の盟主です。その動きは、TPPにまだ未加盟であるフィリピンやタイへも当然影響を及ぼすことでしょう。

 今後、インドネシアの経済的な動きが、日本企業の国際的な展開に対して影響を及ぼす機会は更に増えるため、私達は同国に注目する必要があります。

 画像:ウィキメディア・コモンズ

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