ここ最近注目してきた「アリさんマークの引越社」に関する懲戒解雇やユニオン対応が、反面教師としていい事例となりつつあります。しっかりと段階を踏んで説明し、改善を促し、本人と話し合った上で、解雇が必要になるのですが、引っ越し社にはその手続がなかったことが火に油を注ぐ事態となりました。“会社は紳士たれ”労使交渉はこの精神で交渉を優位に進めていかなければなりません。
引越社のユニオン街宣への対応は完全にアウト
ここ最近注目してきた「アリさんマークの引越社」に関する懲戒解雇やユニオン対応が、反面教師としていい事例となりつつあります。
8月にも同社従業員が、クリーニング代やトラックの修理代を給与天引きとされていたことを不当と訴えている等、同社には労使間の争いが絶えません。
今回、ことの発端は「引越社関東」社員の男性が、労働組合への加入をきっかけに不当な異動や「罪状」と題した懲戒解雇処分を伝える文書を全支店に掲示されたことから始まりました。
9月末に同男性社員は会社を相手に損害賠償を訴え、同社は懲戒解雇を即時撤退しましたが、社内で懲戒解雇のビラを目立つ場所に貼り続ける行為をやめませんでした。
ニュースで見た方も多いかと思いますが、これら一連の企業姿勢に抗議するため、会社前でユニオンが街宣活動を取ったところ、同社の経営陣の1人と思われる男性が、ユニオンメンバーを恫喝するシーンが動画サイトで配信されました。
一瞬、どちらが会社担当者か分からなくなってしまいますし、絶対にあの態度はいただけないもので、やってはいけない行動だったのです。
なぜなら経営陣にとっては酷な話ですが、ユニオンが街宣活動やビラまきを行うのは彼らの通常業務です。何ら特別なことではありません。
では引っ越し社の経営陣は街宣活動に対して、どのような対応をするべきだったのでしょうか?
解雇は説明と改善促す段階を踏んで行うべし
答えはとても簡単で、経営陣は彼らを無視しておけばよかったのです。
団体交渉は無視できませんが、街宣活動は無視が一番です。反応してはいけません。
営業活動への支障を懸念するかもしれませんが、取引先には先手を打って事情を説明をしておけばいいのです。
そもそも解雇に至る経緯は事案により様々ですが、なぜこれほど事態が酷い展開となったのでしょうか?
労働者側に言い分があるのと同様、会社側にもそれ相応の言い分があります。
今回の報道もそうですが、マスコミに解雇問題が取り上げられると、どうしても彼らは労働者側に偏った論調を展開しがちになりますが、解雇を行う企業がすべて「ブラック企業」という訳ではありません。
しっかりと段階を踏んで説明し、改善を促し、本人と話し合った上で、解雇が必要になるのですが、引越社にはその手続がなかったことが火に油を注ぐ事態となりました。
逆に、解雇の手続をきちんと経た好事例がなんと行政で同時期に行われています。
大阪市では9月末に、条例に基づき能力不足の職員2人を民間の解雇にあたる分限免職にしました。
大阪市の事案では、2年連続で最低ランクの人事評価を受けただけでなく1年を超える期間に渡り、外部講師による研修や指導観察を行い、さらには懲戒処分についての警告書も交付したようです。
労使交渉は常に紳士たる対応で臨むべき
解雇は拙速に事を運ぼうとするとトラブルの元です。労働者が“なぜ解雇されたのか”理解できていないからです。
時間を掛けて説明し、改善を促し、警告をする。大阪市の事例が非常に参考になります。
会社側は常に紳士的対応を心掛け、主張の正当性を貫くことに徹するのが一番です。
今、球界は野球賭博問題で揺れていますが、巨人オーナーはこれに対して“巨人軍は紳士たれ”と選手に訓示を行いました。
会社側も“会社は紳士たれ”という精神で交渉を優位に進めていかなければなりません。