大手学習塾「早稲田アカデミー」の夏季合宿中に、参加生徒約340人から預かり段ボールで保管していたスマートフォンや財布などが盗難に遭っていたことが分かりました。今回は塾の管理方法に問題があったため損害賠償は当然のことですが、職場でも稀に「私物盗難」が発生することがあります。企業の事前防衛策をプロに解説してもらいます。
早稲田アカデミーで塾生の私物盗難事件が発生
大手学習塾「早稲田アカデミー」の夏季合宿中に、参加生徒約340人から預かり段ボールで保管していたスマートフォンや財布などが盗難に遭っていたことが分かりました。
事件が発生した当日に、Twitterで塾生の母親と思われる方のつぶやきから事態が発覚し、あっという間にニュースでも取り上げられることになってしまいました。
塾側は管理の落ち度を認め、全て補償するとしています。
おそらく損害額は数千万円単位に登るとも思われますが、盗難されたスマートフォンや財布(カードも含め)が悪用されてしまった場合は、更にややこやしいことに発展するかもしれません。
職場でも私物盗難を見込んだ就業規則を作ろう
今回は塾の管理方法に問題があったため損害賠償は当然のことです。
しかし今回の事件は対岸の火事ではなく、職場でも稀に似たような事態が発生することがあります。
信じられないかもしれませんが、とある社員がいきなり「私の指輪がない」「財布から1万円がない」と騒ぎ立てるケースが稀に生じます。
通常のオフィスでは部外者が出入りすることはありませんので、内部犯行を疑って職場内で犯人捜しを始めたり、事業主に損害を補償するよう迫ってくるのです。
たいていは“本人のカバンの奥にあった”や“昼休みに銀行振込をしたのを忘れていた”といったオチが付きますが、疑われたほうは気分がいいものではありません。職場の人間関係がギクシャクすることさえあります。
では上記のような事態に、企業はどのような事前対処策を打てるでしょうか?
手っ取り早いのが就業規則を利用した対応策です。
私物の盗難問題に対処するためには就業規則に、「事業場に日常携帯品以外の私品を持ち込んではならない。」と規定し、やむなく持ち込む場合でも「私品の管理は各自で行い、使用者は紛失や盗難等による責任を一切負わない。」と規定して個人管理を徹底させるのがよろしいでしょう。
制服に着替えるため貴重品を携行できない場合は、鍵付きのロッカーを貸与することで各自に管理させます。
財産を守るのは権利と同時に義務でもある
とはいえ、基本的には社員も立派な社会人であり、自分の財産を守るのは権利と同時に義務でもあります。
大事なものは持ち込まない、持ち込んだとしても自分で管理をする。
大人は自己責任でお願いしたいものです。