「アリさんマークの引越社(株式会社引越社)」の従業員が、給与から天引きされた弁償金は不当だとして会社を提訴しました。クリーニング代やトラックの修理代を社員に負担させていたようです。しかし会社は社員を雇用して利益をあげているため、利益に付随する損害も公平に負担しなければなりません。社員のモチベーションを維持するためにも正しい制度運用が望まれます。
アリさんマーク従業員が破損弁済不当の訴え
「アリさんマークの引越社(株式会社引越社)」の従業員が、給与から天引きされた弁償金は不当だとして会社を提訴しました。クリーニング代やトラックの修理代を社員に負担させていたようです。
一般的な感覚で考えると、“他人の物を壊したら壊した人が全額弁償する”は常識であり何ら違和感ありません。しかし、労働法制の解釈ではそうはなりません。
なぜでしょうか?
会社は利益に付随する損害も公平に負担する
会社は社員を雇用して利益をあげているため、利益に付随する損害も公平に負担しなければなりません。
また労働基準法第十六条にも『使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。』ともあり、社員の立場は日本政府によって保護されています。
従って故意や重過失でない限り、社員に損害を全額負担させるというのはありえないのです。通常のミスの範囲内であれば相当程度を会社が負担することになります。
社内に社労士や弁護士など労務管理に関するアドバイザーはいなかったのでしょうか。
アリさんマークの引越社と言えば大手の引越業者です。社内コンプライアンス体制も整備されていたはずです。
ツッコミどころが満載なので報道だけでは詳細が分かりませんが、事実なら訴訟では会社側がかなり不利になるものと思われます。
懲罰的でなく社員の為になる罰金制度はあり
このような制度も使い方次第ではプラスに作用することもあります。
弁償金とは違いますが、社内を活性化させる目的で「罰金制度」をアドバイスすることがあります。
営業成績が届かなかった場合、顧客からクレームを受けて損害が発生した場合、期日を守れなかった場合、などなど。
社員も納得のうえで役職や勤続年数に応じて徴収額を決め、現金で回収するのです。
集めたお金は懇親会費やレクリエーションの景品として全額社員に還元します。会社の懐には一銭も入りません。むしろ会社が上乗せ補助をしてくれるとなお良いです。
ちょっとした遊び心で考え方は変わります。はたしてその制度が社員のためになっているのか。懲罰的なものでは人の心は動かせません。