屋外広告の歴史は極めて古く、文献を参照すると、初めて誕生したのは701年の飛鳥時代にまでさかのぼるという。ところが時代は流れ、最近では看板などの屋外広告に空きが目立つようになってきている。しかし屋外広告に関する調査結果を見ると、意外にも屋外広告は潜在的な集客力を未だに持っていることがわかった。本稿は調査結果を検証する。
屋外広告は飛鳥時代からある広告形態の1つ
高速道路や電車から見える巨大な広告、電車内や電柱、建物など目線にある広告やのぼり旗など地元密着型の広告など、いわゆる「屋外広告」というものは、昔ながらの手法でかつ廃れることのないマーケティング手法だ。
屋外広告が歴史上で初めて誕生したのは、随分と古く701年の飛鳥時代にまでさかのぼる。
国内で”市”を中心に商業が発達するにつれ、人が集まる場所に商品の宣伝を行う目的で、看板が増えてきたという経緯がある。
ところが時代は流れ、最近では看板などの屋外広告に空きが目立つようになってきている。例えば電車やバスの中の中吊り広告。以前と比較して枚数が減ったように感じないだろうか。
そして、現在は効果測定が明確に行えるWeb広告にシフトしている。歴史ある屋外広告は、果たして過去の遺物となってしまったのだろうか?
屋外広告を見ている人の割合は70%に到達
インターネット調査会社のマイボイスコム株式会社が、屋外広告について約12000件のアンケートを行っている。
調査結果から屋外広告の効果を検証してみよう。
・屋外広告の意識度合
屋外広告を意識しているか否かという問いに対して、「意識して見る」人は4%、「興味をひかれる広告があれば見る」人が28.8%、「暇つぶし程度になんとなく見る」人は35.9%という結果となった。屋外広告を見る人は70%以上に到達していることが判明した。
・屋外広告についての考え方
屋外広告は「宣伝効果がある」「目印や道案内に役立つ」と考えている人は各30%前後いた。一方で屋外広告に対して「統一感がない、雑然としている」「街の景観を乱す」と批判的な人は各20%弱という結果になった。属性別に見ると、女性は「宣伝効果がある」と考え、高年代層は「景観を乱す」と批判的な人の割合が多く、女性10代~20代は「情報が得られる」と好意的に捉えているようだ。
・屋外広告を見た後にしたこと・行動
「インターネット等で調べた」「店舗や施設に行った」が各10%強になった。「家族や友人・知人と話題にした」「商品・サービスを購入・利用した」と回答した人は各10%弱いた。なお、何らかの行動をとった広告のジャンルは「食品、お菓子」「お酒類」が各30〜40%、「飲食店」「ドラマ、映画、CD、DVD」「飲料(酒類以外)」「旅行・観光、ホテル」「書籍、雑誌、マンガ」も各2割弱で上位である。
以上の結果を見ると、屋外広告を見て行動を起こした人の割合10%〜20%という数値から、生活に密着した商品の場合、広告効果が十分見込めることがわかる。
屋外広告は他媒体とミックスすれば効果あり
先述のとおり広告の主役は、効果測定が明確に行えるWeb広告にシフトしている。しかし屋外広告は、不動産の持つ「土地の特性」を生かすことで、特定の層へ無差別にリーチできる貴重な手段である。
調査でも判明しているようにWeb隆盛と言われていても、70%に及ぶ人が屋外広告を意識しているのだ。
Web広告など様々な広告媒体を組み合わせて利用すれば、メディアミックスで効果が生まれる可能性は高い。