利回り7%不動産ファンドには近づくな!
利回りが大体年間7%くらいで、なおかつ元本保証!みたいな感じで、「元本は保全されています」っていうような不動産の私募ファンドが、インターネットを見ていると派手に広告を出して来ています。
ここはまだ私募ファンドなので、ちゃんとした会計監査が入っていませんが、貸借対照表…財産の状況だけは一応発表しています。
しかも2ヶ所で発表しています。
ファンドを運営している会社と、それからこのファンドを売っている会社両方の決算書が出ています。
けれどもね…ホントにコレ真面目にこの決算報告しているんだったら、ある意味…「偉いな」って思いました。
というのは、ここまでカツカツでキャッシュが無い状態で、なおかつ投資家を集めているんですよ。
あんなに高金利のような高利回りをうたって「7%ですよ!!!」バーン!みたいな感じでね。カツカツなのに、よくあんなんで募れるな…って。
既にファンドの資金は枯渇して、短期借入金の返済も待ったなし
つまり、一般の人っていうのは、特にネット経由なんかで投資してみたいな…とか思う人は、財務諸表ひとつまともに読めないんだなぁって。
キャッシュが如何に無いかっていうのは、投資家が現在出資している額の1%すらも無いです。
ですから、100万円出資をしている人…仮にあなたの出資した額で、相手(運営会社や販売会社)が持っているキャッシュは、ホントに1万円あるか・ないかです。
そういう状態で、自分のお金が運営されている〜っていう話です。
このおかしさっていうのは、例えば年利7%だったら、100万円を返して行くっていうのは、毎月22,500円がまず必要なんですよ。
そして、この会社の形態っていうのはファンドをたくさん組むんです。
そうすると次から次へと償還が来るので、まぁ1ヶ月に1回の償還は無いとしても、数ヶ月に1回は償還がやってくるわけですよ。
返さなきゃいけないんです。
ですから、こんな感じで毎月22,500円のように考えても良いわけですよ。
そして、もちろんこの会社というのは、普通に「短期借入金」があります。20億円以上あります。
ということは…「短期借入金」って何か?っていうとね、1年以内に返さないといけないお金です。
それも、1年めいっぱい銀行は待ってくれないです。
だからすぐに返済期限がやってくるっていうお金で、短期資金であり、それは返さないといけません。
ネットでどんどん新しいお金を集める自転車操業
ところが、カツカツなんですよ。もうお金が!とにかく!無いわけです。
投資家から預かったお金の1%しか無いし、それも「投資家から預かったお金」なんて到底言えないですよ。
なぜ「到底言えない」かというと、普通、不動産の賃貸なんかをやっていると、大体家賃っていうのは前の月に翌月分をもらう仕組みの方が圧倒的に多いんです。圧倒的にね。
ですけれど、ここについても財務諸表を見るとおかしいんですよ。
その前受け(前貰い)の家賃があまりに少なすぎるんです。
その投資家が出資した1%くらいしかないんですね。前受家賃が。これ普通の決算じゃあ、あり得ないですよ。
不動産の賃貸をやっていると、やっぱり10%くらいになっているわけです。
まぁ、契約が違ったりすることもあるので、色々あるわけですけれど大体10%近くはいくんですよ。
もらっている家賃の10%くらいはいくんです。それが1%って…あまりにかけ離れてない??っていう話なんですよ。
この”出資額の1%”って、さっきも言いましたよね??
実はその手元に残っているキャッシュが、”出資額の1%”っていうことは?そう、「前受家賃」です。
前受家賃が今たまたま銀行預金口座にあるんであって、じゃあ短期借入金は?返すお金も無い。そして税金も?払うお金は無い。
もちろんこんなんじゃ、過去に償還期限がきたやつを払っているわけないです。払えるわけが、ないんです。
この会社がやっていくためには、常にネットでどんどん新しいお金を集めていくしかない。これしかないわけです。
自転車操業のうえに100億単位でカラ増資も
あと、大家さんをやっていると、預り敷金とか預り保証金っていうのを店子(たなこ)さんから預かります。
それも、もちろん全部使い込んでます。ぜーんぶ使い込んでます。そして、財務諸表を見る限り、到底「経営」とは言えません。アレは。
ですから、「経営」とは言えない財務諸表を、あえて公表して載っけているわけです。
よっぽど経理マンの腕が悪いか、全くわかっていないか、です。
まぁ、その程度のいわゆる運営の人たちでも100億円以上のお金が運営できるってね!こりゃあもう凄いな〜って思ってます。
これは本当に苦し紛れですが、最期はあまりに金が無くて…
特に、「お金を返せ!返せ!」って私募ファンドですから、償還期限が来たらお金を返さなきゃいけませんから。
その時に一応 「元本保証」みたいにうたってきているので、「カネ返せ!返せ!返せ!」ってず〜っと言われているとね、アタマきたんでしょうね。
こうなったら、無理矢理にでも信用を付けて金をまたガンガン集めてやるぞ!ってね。
だって、もう自転車操業なんだから(笑)、今度は100億円のカラ増資に近いことをやっています。
これの引受先を見ていると、これ絶対”カラ”だなって思いますね。
昔もよく使われたんですよ、ケイマン諸島のファンドが引き受けてくれる〜とかね、そんなんウソばっかりなんですよ。「カラ増資」っていうんですよ、そういうのを。
ネットに書いてある儲け話は信じないのが一番
今回もとある所が、100億円の出資を引き受けてくれた〜みたいになっていたんですけれど、その引受側の会社の財務諸表っていうのは、実は親会社の方は上場しているので、その話が子会社側の方で本当に”有る”んだとしたら…
まず本当にあり得ないのは大元の会社(親会社)の経営基盤が非常に弱いんですよ。
ですから、せいぜい経常利益で年間2億円しかない会社の子会社が100億円もするお金を、見ず知らずの本当に怪しい資金繰りのキツイ会社にね、資金を入れるわけがない。
これはデッチ上げの可能性が非常に高いです。
みなさんね、こういう投資話っていうのは「ネットに書いてあった」とか、そういう話で、要するにネット広告って良いことしか書いてないし、逆に言うと規制が甘いから、「元本保証」みたいなことも書ける。
それから「利回り」とかね、「利息」とか…たしか「金利」とかは書いちゃいけないはずですから、「想定利回り」って書けばセーフだったかな?そいういうのも平気で違反しているわけですよ。
そういう表記をして違反している業社さんもありますし、もうね〜カラ増資を打ってくるっていうのは、もう先は短いです。
カラ増資は本当にやっちゃいけないことなので、かなり大きなメスが入るんじゃないかと思いますよ。
今回のお話は、注意喚起ということでみなさんにお伝えしておきますね。