2016年の外国人観光客の数は2400万人に達し、前年比20%の伸びを見せています。一方で政府の取る外国人宿泊客数の伸びは8.4%に留まりました。これは、宿泊施設を利用していない外国人観光客が相当数存在することを意味します。彼らはどこに宿泊しているのか?今後どのような場所に宿泊するようになるのか?これらを考察することで思わぬビジネスヒントが得られるかもしれません。
日本のホテルは空前絶後の売り手市場となった
こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。
2020年の東京オリンピックまであと3年と迫る中、日本に観光で訪れる外国人旅行客は増え続けていますね。
2016年の訪日外国人客数は2400万人超、前年比20%の伸びとなっています。
こうした外国人観光客の増加によって懸念されているのが、国内の宿泊施設の不足です。
新しいホテルが随時オープンしてはいるものの、大阪や京都といった外国人に人気の観光地では、ビジネスホテルも含め、なかなか予約が取りづらい状況が続いています。
直近、アパホテルが、「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に置いていたため、中国人観光客の宿泊が減るといった事件も起きていますが、その分は他の観光客がすぐに予約を入れるような状況のようですね。
すなわち、今の日本のホテル業界は大いなる売り手市場となっているのです。
夜行バス・ラブホテル…寝る場所を探し求め彷徨う訪日外国人
さて、先日の日経MJ記事によると、外国人の延べ宿泊客数の増加は頭打ちとなっており、前年比8.4%の伸びにとどまっているのだそうです。
外国人観光客は同20%の伸びを示しているのに、外国人宿泊客数はその半分以下に留まっているのです。
これは、日本にやってきた外国人観光客のうち、「宿泊施設を利用していない人が相当数存在している」ということを意味しているわけですね。
彼らがどこに消えたのか?は、記事の中でも種明かしされていますが、ひとつは、夜行バス。
私も以前よく利用しました。例えば、夜11時に東京や新宿駅前からバスに乗り込み、朝起きると大阪や京都駅に到着。
夜行バスは一番安いものは東京→関西で4000円くらいと飛行機や新幹線よりはるかに割安、かつ宿泊代が浮く。
というわけで、夜行バスは、あまり旅行費用のない、あるいはレジャーにお金を使いたい若年層に人気の移動手段でしたが、そこに外国人も目をつけたというわけです。
他にも、キャンピングカーを借りて各地を移動することで宿泊問題を解決したり、ラブホテルに泊まったり、24時間オープンしていて、毛布の貸し出しもある関西国際空港のソファーで寝るなど。
訪日外国人は、通常のホテルの予約が取りにくい日本の現状に対応して、様々な方法で寝る場所を確保しているようです。
料金が安く快適な場所には今後も外国人観光客の流入が続く
日経MJ記事には書かれていなかった別の方法として私が思いつくのは、朝まで休憩できる温浴施設。
成田空港から都心へのシャトルバスで最近1000円程度の格安バスが登場してますが、遅い時間のバスの最終目的地が、お台場の「大江戸温泉物語」の便があるのはご存知でしたか?
これは日本人観光客も利用しているのかもしれませんが、おそらく、遅い時間に着く外国人にもおおいに利用されていると思われます。
大部屋にはなるけど、ひとまず朝まで眠れるし、日本的な浴場も楽しめる、料金も格安といいことづくめですから。
今後は、「Airbandb」のように、一般住宅の空き部屋を提供する「民泊」の利用も大きく伸びていくことでしょうし、外国人観光客は、泊まるホテルがないならないなりに、たくましく、また柔軟になんらかの抜け道を見つけていくのでしょうね。