三菱東京UFJ銀行は廃止していた制服を約5年ぶりに復活させ、新年の業務を始めました。同行は今年、合併してから現体制となって以降10年目を迎えるため、これを機に、行員のプロ意識の向上と来店客の安心感を高めることを狙っていると言います。とはいえ制服の導入時には、必ずと行ってよいほど「更衣時間を労働時間とするか否か」といった、悩ましい問題が発生します。どのように判断すれば良いか解説します。
東京三菱UFJ銀行で約5年ぶりに制服が復活に
徹底的に無駄を省き、限られた時間と人材のなかで労働生産性を上げる。どの企業も課題としている点が多いことと思います。
そのような中、三菱東京UFJ銀行は廃止していた制服を約5年ぶりに復活させ、新年の業務を始めました。
同行は今年、合併してから現体制となって以降10年目を迎えるため、これを機に、行員のプロ意識の向上と来店客の安心感を高めることを狙っていると言います。
とはいえ、制服の導入には、社内に一体感が醸成されるというプラスの面と、更衣時間や経費のムダといったマイナスの面が混在しています。
特にマイナス面ではどのような問題が起きやすいか、どのように判断し、解決すれば良いかを、本日は検証してみたいと思います。
制服の更衣時間は業務時間内に含まれるか?
先程もマイナス面で「更衣時間」について触れましたが、制服の導入時には、必ずと行ってよいほど「更衣時間を労働時間とするか否か」といった、悩ましい問題が発生します。
建設現場の安全具など、法令で定められた作業服への着脱は労働時間となりますが、一般事務職では更衣時間を労働時間としていないケースが多いのでないでしょうか。
この点は「三菱重工長崎造船所事件(最高裁:平成12.3.9判決)」によって、『労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。』という判決が下っており、労働基準法24条に定められる労働時間が、実態によって判断されることとなっています。
通常、更衣時間を労働時間とする場合は、更衣室に入る前に始業のタイムカードを打刻し制服に着替え、業務を終え私服に着替え更衣室を出た後に、終業のタイムカードを打刻します。
更衣室内で純粋な更衣のみが行われているのであれば、労働時間とすべきです。
しかし、軽食の摂取・雑談・化粧直しなど、おおよそ業務とは程遠い行為が、更衣室内では行われていることが往々にしてあります。
よって、更衣室内での滞在時間=更衣時間(労働時間)ではないことが多いのです。
実態はほとんどの企業で更衣時間は労働時間外
更衣時間を労働時間とするか否かで揉めた場合は、「更衣室内での実態に沿って」、更衣時間を労働時間とするか否かを、社員と話し合ってみると良いでしょう。
大抵の場合は、「労働時間ではない」で決着します。
今回の三菱東京UFJ銀行でも現場からのヒアリングによると、「更衣時間は労働時間の範囲外」と、更衣時間に関する判断がなされているようです。