職場で勤務中に突然亡くなられる方や、死なずともケガや病気にかかる方も大勢いらっしゃいます。ただそれが仕事が原因で発症した病気なのか、仕事外が原因の病気がたまたま勤務時間中に発症したのかによって、労災保険が適用されるか否かは変わります。労災と認められるためには「業務遂行性」と、「業務起因性」の2要件を満たさなければなりません。企業はこの2要件に対して対策を打つ必要があります。
女子高生が強歩大会で倒れ死亡 判定は病死
埼玉県の県立高校で女子生徒が学校行事の強歩大会中に倒れ、死亡していたことが分かりました。県警は病死と発表しています。
なんともいたたまれない出来事です。
今後、学校の責任の有無が問われることになるかと思われますが、気になったのが県警が病死と発表したことです。
通常、運動中の突然死は心筋梗塞などの心臓に関する不調がほとんどです。
同生徒は先月行われた持久走の練習中にも倒れましたが、医師が異常なしと診断し、保護者同意で参加していました。これらの情報を整理し、最終的に病死判定になったということから、強歩大会以外に原因があったと推測できます。
労災保険の適用を認められるのに必要な2要件
職場でも勤務中に突然病気で倒れて、そのまま亡くなられる方がいらっしゃいます。
ただそれが仕事が原因で発症した病気なのか、仕事外が原因の病気がたまたま勤務時間中に発症したのかによって、労災保険が適用されるか否かが変わってきます。
労災と認められるためには仕事中に発生したか否かという「業務遂行性」と、仕事が原因の病気やケガか否かという「業務起因性」の2要件を満たさなければなりません。
- 業務遂行性:仕事中に発生したケガ・病気であるか否か
- 業務起因性:仕事がケガ・病気の原因になったか否か
長時間残業が原因の病気であればこれらを満たし労災になりますが、持病が原因の病気であれば上記2要件を満たさないため労災とはなりません。
つまり、労災判定を下す基準としては、病気やケガと業務の因果関係が大変重要になります。
企業はケガ・病気の要因を先に潰す必要がある
病気やケガには必ず原因があります。
企業としては重大な結果を引き起こさないような対策がなされていたのかどうか、それにより今後の補償が大きく変わります。
社内の労務管理体制を整備するのはもちろんのこと、設備の老朽化による人的事故への対策など、従業員のケガや病気に対して、企業は言い開きができるように体制を構築する必要があります。