早期希望退職の圧力が45歳以上のサラリーマンにかかる
富士通で5000人規模の早期希望退職
読者の皆さんは、キャリコネ編集部の「希望退職の募集では氷河期世代でビジネス経験が薄い45歳以上が分かれ道」という記事をお読みになられましたか?
「氷河期世代でビジネス経験が薄い人がだぶついている」という内容の記事です。
この記事は大手企業の早期退職にまつわる悲喜こもごもを伝えるものなのですが、代表的な企業として富士通がクローズアップされていました。
富士通は2019年4月1日付で、45歳以上のすべてのグループ社員を対象に早期退職を含めたジョブ選択を検討していて、2020年をめどにグループ全体で5000人の配置転換を実施すると発表しています。
2019年1月の第3四半期決算説明会では、CFO (財務担当責任者)が間接部門の人材について、会社が強化を必要とする直接部門にできるだけ移ってもらいたいと発表しています。
富士通は製造業なので、開発・製造・生産あるいは営業部門あたりが直接部門となります。
ちなみに、間接部分は経理や人事や財務などということになります。
間接と言っても人事と財務は花形なので、きちんと残すのではないかと思いますが、「できるだけ直接部門に異動してもらい、コストではなく利益を作ってほしい。」というのが、上層部の本音でしょう。
富士通以外にも相次ぐ45歳以上を対象にした肩たたき
45歳以上を対象にした人員整理は他の企業でも相次いでいます。
たとえば、カシオも45歳以上、協和発酵キリンも45歳以上を対象に、肩たたきを行って人員整理を進めています。
記事では、45歳以上はビジネス氷河期だったのでスキルも少し薄い、といったような感じで書かれております。
大ヒット「サラリーマンは300万で小さな会社を買いなさい」
もうひとつご紹介したい2017年の古い記事があります。
日本創生投資の三戸 政和さんという方が書いた、「500万円で優良企業の社長になる方法」という一連の連載記事です。
Webの連載がなんと500万ページビューに到達したそうで、なんと本まで出版されました。
「サラリーマンは300万で小さな会社を買いなさい。人生100年時代の個人M&A入門」という書籍も出されていまして、ホリエモンさんも推薦されています。
ビジネス書で15万部というと大ベストセラーです。
これらの本が勧めるのは、「使い捨てられて、うなだれるくらいなら、大企業を辞めた退職金で会社を買って、事業を始めなさい」というものです。
大企業のサラリーマンが500万円で会社を買って上手くいくか?
大企業のサラリーマンは中小企業の受け皿にはならない
大企業のサラリーマンがいきなり早期退職のような形で社会に投げ出された場合、「中小企業にとって彼らが宝のような人材だ」という幻想があります。
でも、中小企業はもともと大企業が大嫌いですから、全然受け皿にはなりません。これはでたらめな話です。
ところが、大企業の人というのは常識的な人なので、「500万円で優良企業の社長になる方法」が500万ページビューだから、皆が見ているから、「自分もはじめようかな」と思うわけですよね。
500万円、300万円で買える会社に旨味は無い
別に嘘を書いているわけではないと思いますが、結局のところ、そんなに話は旨くはありません。
「500万円で小さな会社を買える」「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」
確かに、上記にあげたことは、できないことではありません。
ただ、我々のように、実際に会社の売買を実務で行っている人間にとってみると、300万円、500万円で買える会社というのは、タダでも要らないような会社です。
なぜなら、そんな会社に価値なんてないからです。
会社を再生させるのは至難の業
ところが、この本は「大企業で培ったマネージメントのやり方を、中小企業に持ちこむことによって、中小企業を赤字から黒字にすることができる」という理屈なんですね。
「赤字から黒字にできたら買値の5倍でその企業を売れます。」「300万円で買って、黒字化すれば1500万円で売れます。」「500万円で買った企業が黒字化すれば2500万円で売れます。」といった具合です。
ただ、そんな「きったはった」の簡単な話じゃないんですよ(笑)
我々も経営の立て直しをやりますが、経営の立て直しというのはとても大変なことです。
本当に大変ですから、そういう大変な仕事を本当にやる覚悟が必要ですし、やる覚悟があるような方は、もっと会社の中でも評価されているはずだと思います。
早期退職者を相手にした詐欺に注意
覚悟と成果と実力があったとして、一部このような話には詐欺も出てくると思います。
早期退職者の退職金を狙った取り込み詐欺のようなことが、今後増えていくでしょう。
たとえば、以前あった話ですが、「当社の役員になってくれないか」そして役員になるためにまず500万円を出資してほしいとか、300万円出資してほしいという詐欺もありました。
カボチャの馬車のような「シェアハウス詐欺」のような早期退職者への詐欺も出てきます。
というわけで、小さな会社を買いませんかという話には安易に乗らずに、きちんと専門家にお金を払って、しっかり見てもらった方がいいと思います。