あっという間に今年も終盤戦。冬もすぐそこまで来ています。
冬と言えば毎年恒例、インフルエンザが流行する季節でもあります。
インフルエンザに羅患すると通常その人は一週間前後休まねばならず、その不効率から企業を守るために、会社負担でインフルエンザの予防接種を従業員に受けさせるケースもあります。
この時の会計処理としてワクチン費用を損金計上するための要件をプロに解説してもらいました。
インフルエンザ予防接種費用の会社負担
あっという間に今年も終盤戦。冬もすぐそこまで来ています。
冬と言えば毎年恒例、インフルエンザが流行する季節でもありますね。
ニュースをご覧になってご存知の方は多いかもしれませんが、今シーズン(2015年)からワクチン接種料金が大幅に値上げされることが観測されています。
国内製薬メーカー4社がワクチン効果を上げようとしたために製造原価が上がり、医療機関への卸価格が、昨年の五割増し程度になったことが要因だそうです。
価格の値上がりと共に医療機関では、ワクチン接種を控える人が増えるのではないかと危惧されています。
とはいえ会社が忙しい年末年始に、従業員がワクチン接種を控えた結果としてインフルエンザに羅患し、一週間も休まれたのでは不効率も甚だしく、経営者としてはあがったりとなってしまいます。
なにせ給料は払わなければならず、仕事も止まってしまう可能性があるのですから。
対策として会社負担でインフルエンザの予防接種を従業員に受けさせる会社もあることでしょう。
この場合、会社が負担した予防接種の費用は、会計上どのように取り扱われるか解説していきます。
会社がインフルエンザ予防接種費用を負担
予防接種の費用
予防接種の費用は医療機関によっても異なり、2,000円から5,000円程度が標準的なようです。
個人が負担すべき費用を会社が負担した場合、原則としてその従業員に対する給与として取り扱われることとなり、所得税の課税対象となります。
ただし予防接種が業務上必須であり、全社員を対象に希望者全員の費用を負担する場合は、その費用は福利厚生費として損金算入が可能です。(所得税基本通達36-29)
予防接種の費用は費用計上することが可能
会社負担の金額は、福利厚生費等として費用計上することが可能です。
接種を希望する社員一律に費用負担している点がポイントです。役員など特定の人物のみが受けている場合には給与課税されますので、くれぐれもご注意ください。
個人でインフルエンザ予防接種費用を負担
個人で負担した医療費が一定額以上の場合には、確定申告をすることによって「医療費控除」というものが受けれられます。
では、インフルエンザ予防接種費用は医療費控除の対象となるかといいますと、その答えはNoです。
個人的には対象にしてあげても、、という気持ちはあるのですがこればかりは仕方がありません。
福利厚生費となるものと給与課税されるもの
福利厚生費と給与課税されるものの境界はとても分かりずらいものとなっています。
迷ったら専門家にすぐ相談していただきたいのですが、以下の考え方を一つの指針として持つことをお勧めします。
- 業務上必要と認められること
- 希望者全員に機会が与えられているものであること
- 不相当に高額でないこと
これを全て満たしていれば福利厚生費となる可能性が高いと思っていただいて結構です。