財務に問題なくとも大正製薬がリストラを激しく進めるのは正しい

時事
スポンサーリンク

創業以来初の激しいリストラを断行する大正製薬

医薬品メーカーで大きな業界再編(M&A)やリストラが進んでいます。

その中でも特に思い切った、激しいリストラを進めているのが、ワシのマークで知られる大正製薬です。

創業以来初となる早期退職では、実に従業員全体の15%にあたる948人をリストラし、更には富士フィルムとの業務提携を解消、34%の株式を保有していた富山化学工業の株式も売却に入っています。

リポビタンD、パブロン、スカルプDなど、大衆薬品で大ヒット商品を数々保有する同社で、これほど大きなリストラはかつて行われたことがありません。

スポンサーリンク

大正製薬の財務状況を見ると激しいリストラは一見不要に見える

リストラを激しく進める大正製薬ですが、どれほど業績が厳しいのだろうと業績を確認するとまったく問題がない状態でした。

節約社長
参考リンク:大正製薬業績ハイライト

しかもキャッシュリッチで、売上が3,000億円前後ある製薬会社であり、無借金経営です。

確かに今は業績が長期停滞という状況ですが、何かをしなくても会社が傾く状態ではありません。従って、この状況でのリストラに対して、従業員の中には大きな不満を抱く方も多いことでしょう。

一方で、リストラを進めるのであれば、今が絶好です。借入をする必要もなく、短期的に業績が悪化しても会社が崩れにくいからです。

その前に、激しくリストラを行えば、会社が軽くなる分、儲かる分野(前述の大衆薬品)に資源を集中させられます。

批判も多いでしょうが、経営の視点から見れば、勇気ある決断と言えるでしょう。

スポンサーリンク

財務が本格的に悪化してからリストラしても遅い

というのも、業績が悪化すると、資金調達にも難儀することになります。

大塚家具の例を見ればよくわかる話です。幾らキャッシュリッチであった企業も、うまくいかない分野を迅速に損切りできなければ、たちまち資金繰りに難儀し始めます。銀行はそうなってからではこちらを向いてくれません。

こうなると、リストラそのものすら、簡単にできなくなってしまいます。

大正製薬のやり方が必ずしも正しいとは限りませんが、経営者の仕事は、必ずしも確定しない将来に向かって舵を切り、実行することです。

従業員と考えが合わなかったり、世間からバッシングを受けることもあるでしょう。だとしても、至上命題である会社のリストラクチャリング、業績の立て直し以外に、回復の道はありません。

もちろん、そんなことをせずに乗り越えていけるのであれば、それに越したことはありませんが…企業は生き物です。

どんなに好業績を誇る企業であれ、安定しているように見える企業であれ、どこかで業績が曲がり角を迎えるなどして、経営者は「血を流す」判断を迫られるタイミングを必ず一度は経験します。

今回の大正製薬が行っているリストラを、読者の皆様にもぜひ自分事として、引き続きウォッチしていただければと思います。

Photo credit: urbaning on Visual hunt / CC BY-ND

時事
シェアする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
大原達朗

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事・アルテパートナーズ株式会社代表取締役として、M&Aを手掛ける公認会計士です。

BBT大学、法政大学院イノベーションマネジメント科の教員も兼任しております。

大企業だけではなく中小企業にとっても、ユーザーフレンドリーな会計業界を、世界中に広めることが目標です。

M&Aの悩み(会社や事業を売りたい/会社や事業を買いたい/小規模M&A投資を検討している)があれば、お気軽にお問い合わせください。

運営サイト:
経営者のための実践ファイナンス

【現職】
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテ監査法人代表社員
アルテパートナーズ株式会社代表取締役
日本マニュファクチャリングサービス株式会社監査役
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師
ビジネス・ブレークスルー大学大学院准教授
ビジネス・ブレークスルー大学准教授
PT. SAKURA MITRA PERDANA Director

【職歴】
1998年10月 青山監査法人プライスウオーターハウス入所
2004年1月 大原公認会計士事務所開設
2004年6月 株式会社さくらや 監査役
2006年1月 株式会社ライトワークス リスクコンサルティング部ディレクター
2007年4月 ビジネス・ブレークスルー大学大学院講師
2008年4月 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師(現任)
2008年4月 アルテ公認会計士共同事務所開設 代表パートナー
2008年6月 日本マニュファクチャリングサービス株式会社 監査役(現任)
2009年4月 アルテパートナーズ株式会社設立 代表取締役(現任)
2010年7月 アルテ監査法人設立代表社員(現任)
2010年8月 日本M&Aアドバイザー協会 理事
2014年10月 日本M&Aアドバイザー協会 代表理事(現任)
2016年4月 ビジネス・ブレークスルー大学准教授(現任)

【所属団体】
日本公認会計士協会、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)、日本税理士会、日本CFO協会

【資格】
公認会計士、税理士、 JMAA認定M&Aアドバイザー (CMA)

【その他】
ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA/経営管理修士(専門職) 日本CFO協会主任研究員(2006年)

大原達朗をフォローする