中小企業にも浸透し始めている「働き方改革」
「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しているニッポン。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
これらの課題を解決すべく、政府が主導して進めている取組みが「働き方改革」です。
中小企業でも、「時間外労働の上限設定」、「ITツールの導入」、「社員のスキルアップに向けた教育」など、各種の取組みが実施されているが、業績別ではその浸透度合いが全く違うようです。
以下、ワークスモバイル ジャパンが行った「中小企業の働き方改革意識・実態調査」を見てみると、その結果が如実にあらわれています。
働き方改革実施率〜業績別ではどう変わる?
中小企業の働き方改革実施率は業績別で異なる結果が出る
調査の結果、働き方改革に取組む中小企業は約4割に到達することがわかりました。
2017年10月にワークスモバイル ジャパンが行った同調査との比較ではほぼ横ばいという結果に。
なお、勤務先企業の「業績が好調」、「業績が不調」別に、勤務先企業の働き方改革実施率をみると、好調中小企業で40.9%、不調中小企業で31.1%が働き方改革に取り組んでいる結果になりました。
働き方改革の会社業績への影響評価も業績別で異なる結果が出る
業績好調な中小企業の社員では38.7%が「働き方改革が会社に好影響」と回答した一方、業績不調な中小企業の社員では19.9%にとどまり、約2割のギャップが明らかになりました。
働き方改革がもたらす会社への影響を勤務先企業の業績別にみると、業績が好調な中小企業に勤める社員の方が、「働き方改革による会社業績への好影響」を感じている傾向がわかりました。
ITツールの導入に対する効果の実感も業績で明確にわかれる
業績別に見ると、取組み内容のうち効果の実感に最も差があるのが「ITツールの導入」でした。業績好調な中小企業の社員では28.0%が「ITツールが会社に好影響」と回答したのに対し、不調な中小企業の社員では6.3%にとどまっています。
「会社の業績に良い影響を与えていると感じる」と回答した中小企業社員に対し、どの取組みが業績に好影響を与えているかを聞いたところ、勤務先企業の業績別では「ITツールの導入※コミュニケーションツール、営業管理ツール、情報共有のための名刺管理ツール等」への効果の実感に最も大きな21.7%の差がつくことがわかりました。
一方で、「時間外労働の上限設定」において、業績好調企業が、業績不調企業と比較し効果を実感していない傾向がわかりました。
働き方改革で積極的に進められている取組み
働き方改革で会社が積極的に進めている取組み内容についても調査が行われました。
中小企業に勤める社員に対し、働き方改革の各種取組みに対する勤務先企業の姿勢を調査すると、勤務先企業が積極的だと思う取組みは1位「時間外労働の上限設定」、2位「ITツールの導入」、3位「社員のスキルアップ」という結果になりました。
業績が好調な中小企業ほど働き方改革に前向き
いかがだったでしょうか?
今回の調査からは、業績が好調な中小企業ほど働き方改革に前向きであること。業績不調な企業ほど働き方改革の成果を実感していないことがわかります。
業績不調な企業が労働集約型の働き方をやっているようでは、どう頑張っても業績が好調な企業との間で、成果に差が出てきそうです。
■調査概要
・調査エリア:全国
・調査実施期間:2018年5月17日(木)~2018年5月18日(金)
・調査対象者:20~59歳
・雇用形態:正社員
・条件:中小企業基本法の定義に基づき、中小企業社員を抽出
モニターの評価で業績好調企業、業績不調企業を抽出
・サンプル数:1,036サンプル(男性778名、女性258名)
・調査方法:インターネット調査