ソフトバンクがGMに投資〜その意図は?
ソフトバンクが、ゼネラル・モーターズの自動運転事業に22.5億ドル(約2,482億円)を投資し、結果として19.6%の議決権を持つことになると報道されています。
参考リンク:ソフトバンク、GM自動運転事業に22.5億ドル出資:ロイター
ソフトバンクは、ゼネラル・モーターズをも傘下に置こうとしているのか?と言えば、おそらくですが、その可能性は低いでしょう。
確かに役員を1名派遣するようですが、19.6%の議決権では支配権もありませんので、いわゆる投資の1つと考えて良いと思います。
ソフトバンクが支配権にこだわらず投資するワケ
ソフトバンクは今年に入って、2兆円以上をかけて買い取ったスプリントについても、T-mobileと統合させることによって、議決権の過半数を割る形となりました。
これらは、言葉を変えて言えば、ソフトバンクが支配権にこだわらない姿勢を見せていることの現れでもあります。
この流れで行けば同社は、支配権をともなった事業投資だけではなく、支配権を必ずしも伴わない事業投資に力をいれていくことでしょう。
主体となっているのは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドです。
同ファンドには、サウジアラビア政府系ファンドから約4兆円、ソフトバンクから約2.5兆円、その他数社が集まり、合計で約10兆円の資金が集まっています。
これだけ巨額の資金を投資し切るためには、支配権を伴う、マジョリティーをとれる案件だけでは投資しきれないという実情もおそらくあるのだろうと思います。
投資事業がヤフー事業の約2倍に及ぶ巨額な利益を生み出す
では、その結果はどうなっていると思いますか?
ソフトバンクの2018年3月期決算を見てみると、全体の営業利益1兆3,000億円のうち、なんと3,000億円以上をファンド事業が稼いでいます。
つまり、すでに新たな投資事業がビジネスの1つの柱になっている見て良いでしょう。
投資事業は利益ベースで見ても、既にスプリント事業を上回り、ヤフー事業の約2倍に及ぶ巨額な利益を稼ぎ出しています。
利益の半分を占めるモバイル事業も、最初は企業買収から始まりました。
商売上手はM&Aを有効活用していることを示す好事例と言えます。
Photo credit: yto on Visual Hunt / CC BY