社会の多様性に対応して雇用を維持するため、経営者の皆様も様々な工夫を凝らされているのではないでしょうか?中には、「正社員の待遇を認めてもらいながら、子供のためにきっちり家へ時間通りに帰りたい」という要望もあるでしょう。ならば、正社員待遇で時給で計算した給料を支給することも可能なのでしょうか?
正社員に時給制を導入し法的に問題は無いか?
多様な働き方を認めなければ優秀な従業員を雇えない社会情勢の中、経営者の皆様も雇用維持のため様々な工夫を凝らされているのではないでしょうか?
フレックスタイム制度を導入したり、アルバイトでも成果を出す人材にボーナスを支給するなど、私のお客様も本当に色んな取組をされています。
特に主婦を雇用されている会社では、従業員から「正社員の待遇でも、子供のためにきっちり時間通りに家へ帰りたい」という要望が多く聞かれるようです。
そこで、基本給を時給で支給して、能力給や成果給などを働きによって追加で支給することはできないのか?という質問を受けます。
正社員の時給制導入は法的に全く問題が無い
通常、正社員の給料は月給としているところが多いですが、時給でこれを支給しても問題は無いのでしょうか?
結論から言うと、労働者に対する賃金の支払い形態は、最低賃金等の法律が遵守されていれば、時給で支給しても月給で支給しても、どちらでも問題がありません。
なぜなら、労働者の区分は賃金の支給形態で区分するのでなく、雇用期間・労働日数・労働時間等で区分するものだからです。
労働基準法上、正社員・パートタイマー・アルバイトという労働者区分も存在しません。
トレンドとしては、基本給を時給とする代わりに、福利厚生やボーナスは月給制社員のように支給する、短時間正社員という形で時給制を正社員に導入する企業が増えています。
待遇設定に差が生じる場合は就業規則に明記を
ただし、このように正社員に時給制を選択できる制度を導入する場合、1つ気をつけるべきことがあります。
福利厚生やボーナスの有無、慶弔休暇等の労働条件を、労働者区分によって会社が決めることは自由です。
しかし、労働者区分によって待遇の差を設定する場合、労働者の区分、労働者区分別の待遇設定を明確に就業規則へ表記することにしましょう。
もし、就業規則に労働者区分別の待遇設定が表示されていない場合、不利益を被ったとして労使問題に発生する場合があるからです。
短時間正社員制度の導入などによって、正社員に時給で給料を支給するなら、この点だけは最初に気をつけておくべきでしょう。