激務の屋台骨を支えてくれる身近なスタッフとパートナー関係になるのは自然な話。既婚の社長さんから話をお伺いしていると、結構な割合で自社で働いていたスタッフと結婚されるケースは多いようです。ただし、ただし、幸せムードに浸るだけでなく、締めるところはしっかり締めたいところ。配偶者となったスタッフが社内に残るなら、社会保険と雇用保険でどんな手続が必要かチェックしましょう。
社長とスタッフが結婚⇒労務手続きが必要です
既婚の社長さんから話をお伺いしていると、結構な割合で自社で働いていたスタッフと結婚されたケースが多いようです。
もう随分前ですが、AmebloやabemaTVを運営するサイバーエージェントの藤田晋社長が、社内で近い場所にいた元秘書と結婚したニュースに象徴されるように、身近で激務の屋台骨を支えてくれる異性とパートナー関係になるのは自然な話。
読者の皆様の中にも、社内のスタッフと結婚を前提にお付き合いされている方がいるのではないでしょうか?
さて、社内恋愛から二人がゴールインしたとして、それはそれでおめでたいのですが、労務(保険)については幾つかの手続きを取る必要があります。
そこで、社長と社内スタッフが結婚した場合に、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険について、どのような手続きが必要かご紹介します。
【社会保険と雇用保険】それぞれどのような手続が必要?
社会保険
社会保険については、これまでと変わらず続けていくのであれば、まず氏名変更が必要です。
結婚する際に新居へ引っ越されるなら、住所変更の届出も行わねばなりません。
管轄の年金事務所、および健康保険組合へ変更届を提出するようにしましょう。
雇用保険
慎重に手続きを行うべきは雇用保険です。
社長と社内スタッフが結婚した場合、スタッフは原則的に雇用保険における被保険者の資格を喪失することになります。
なぜなら、労働者とは、「雇用契約に基づき、指揮命令を受けて労務を提供する対価として賃金を受ける人」のことを言います。
スタッフが社長の配偶者となれば、雇用関係ではなく、事業主である社長と利益を一にしている家族となるからです。
結婚後も雇用保険の被保険者となるために満たすべき3つの条件
ただし、社内スタッフが社長の配偶者となった後で、他の従業員と同様に雇用関係があると認められる場合に限って、スタッフは被保険者でいることができます。
配偶者に限らず事業主の同居の親族が雇用保険の被保険者となろうとするときには、以下3つのの要件を満たす必要があります。
- 1) 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
- 2) 就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切り、及び支払の時期等について就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること
- 3) 事業主と利益を一にする地位(役員等)にないこと
具体的には、「同居の親族雇用実態証明書」という書類を、実態を確認するための書類(労働者名簿、出勤簿、賃金台帳、就業規則)とともにハローワークに提出し、要件を満たすかどうかの確認を受けます。
手続きの時期は、同居の親族としての実態を見るため、3か月分の給与が支払われた後となります。
同居の親族になって労働者ではなくなる場合、雇用保険のみならず、労働保険(労災)についても給付を受けることはできなくなります。
給与計算の際には雇用保険料の控除を止めること、6月から7月にかけての労働保険料の申告の際には、この方の分を保険料計算の元とする賃金額からよけることに注意しましょう。
めでたく結婚したのに夫婦の仲にお金や保険の問題で亀裂を入れないよう、ぜひ手続きはしっかり済ませましょう。