消費電力が通常の10分の1程度で済むこと、通常の電球と比較して寿命が3〜4倍長い、などのメリットに着目し、多くの企業が電球をLED電球へ切り替えています。ただし、LED電球の導入時は電気工事が必要となるケースが多々あります。通常の電球取り替えなら修繕費に計上すれば良いのですが、工事を伴うLED電球への切り替えにかかる費用も修繕費へ計上して良いのでしょうか?
LED電球は便利だけど導入時に何かとお金がかかる
工場や施設をお持ちの会社では、電気代がバカにできないくらい大きな支出要因となることがあります。
そこで近年注目されているのが、LED電球(照明)の導入です。
消費電力が通常の10分の1程度で済むこと、通常の電球と比較して寿命が3〜4倍長いことから、多くの企業がLED電球へ切り替えを行っています。
ただし、LED電球の導入については慎重にならざるを得ない難点が2つあります。
それは、
- 一般の電球と比較して価格が割高
- 安定器の付設に伴い電気工事が必要となる場合が多い
という2点です。
たとえば、ある工場でLED電球購入代金が500万円、電気工事代金が1,000万円、つまり、LED電球を導入する代金が合計で1,500万円かかったとします。
通常の電球を購入した場合は、修繕費という費用を計上できますが、上記のように工事が伴うLED電球導入のケースも単純に費用として良いのでしょうか?
工事を伴うLED電球の導入にかかった代金は資本的支出
結論からお伝えすると、工事を伴うLED電球の導入にかかった代金は、修繕費に直接計上してはなりません。
企業が持つ固定資産の耐久性を増す資本的支出として、資産計上した後に数年かけて減価償却費を計上する形としなければなりません。
この考えを理解するために、修繕費と資本的支出の定義を見てみましょう。
修繕費
修繕費とは、「法人が有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は毀損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額」とされています。(法人税基本通達7-8-2より)
資本的支出
資本的支出とは、法人が有する固定資産の修理、改良のために支出した金額のうち、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額とされています。(法人税法施行令第132条、法人税基本通達7-8-1より)
どっちがどう違うのかわからない方も多いと思いますが、両者の違いを端的に言うと、
- 修繕費⇒壊れたり、修理改良しないと資産が使えない時に計上を認められる
- 資本的支出⇒現状でも使えるが、性能をあげるため資産を改良する時の支出
と考えておけば良いでしょう。
また、税務上修繕費に該当するためには「付属設備に該当する照明設備の工事を伴わないこと」が前提が必要とされています。
蛍光灯型LEDランプを取り入れることで、節電効果や照明設備の充実につながるものとされる、つまり、蛍光灯型ランプと照明設備が一体となって新たな機能が発揮されると考えられます。
従って、照明設備改良工事1,000万円、蛍光灯型LEDランプ代500万円の合計1,500万円は、全額が資本的支出に該当します。
LED電球を導入しても修繕費に計上できる場合
では、LED電球を導入した場合、どうやっても資本的支出として資産計上した後で、減価償却しなければならないのでしょうか?
それは違います。
LED電球の導入が資産か費用かは、あくまで、
- 修繕費⇒壊れたり、修理改良しないと資産が使えない時に計上を認められる
- 資本的支出⇒現状でも使えるが、性能をあげるため資産を改良する時の支出
という側面から考えて判断すれば良いのです。
たとえば、現状の電球が消耗している場合に、工事を伴わずにLED電球へ切り替えるだけなら、この行為は「照明設備が効用を発揮するための単なる一部品の交換」と考えられます。
このような場合は、LED電球の導入費用を全額修繕費として計上することが可能です。