ハウス食品が2015年に子会社化したココイチの純利益が改善していると報じられています。行政気改善には、ハウス食品が手がけていた海外レストラン事業を、運営ノウハウを持つココイチに任せたことが大きく関係しています。同時にハウス食品は、ココイチの海外展開を活用し本業の販路も広げようとしています。企業買収のシナジー効果が見られる好事例と言えるでしょう。
ハウス食品の子会社から2年〜ココイチの純利益が改善へ
CoCo壱番屋(以下、ココイチ)の純利益が改善していると報じられています。
現状の通期純利益見込は34億円(前期は約17億円)のまま据え置きということですが、上方修正もありうる状況でしょう。
ご存じの方も多いかと思いますが、ココイチは2015年にハウス食品の子会社となりました。
この時、ココイチの買収にハウス食品がかけた費用は約300億円です。
これを回収するには、当時のココイチの純利益ベースで約28年かかる計算でした。
ハウス食品にしてみれば、まさか28年の時間をかけてココイチの投資回収を行うわけにもいかず、ハウス食品の業績を早いタイミングで改善し、さらに拡販していく必要がありました。
親の弱みを子の強みが補う効果的なシナジー
そして買収直後から、しっかり結果を残している点は素晴らしいと思います。
特に素晴らしいのが、親会社であるハウス食品が自社の弱みをココイチの強みを利用して、改善しようとしている点です。
ハウス食品の弱み、ココイチにとっての強みとは、ズバリ海外展開です。
ハウス食品が自前で運営していた中国・台湾など海外レストラン事業を、レストラン事業のノウハウを持つココイチに渡したのは、その姿勢の表れと言えます。
これが一部商品の値上げとあいまって、今回のココイチ業績に大きく寄与しています。
ハウスは決して海外で実績のある会社でありません。直近の決算を見ても全体に対する海外事業の売上はそこまで大きくありません。
対して、ココイチの海外事業は、この10年で売上が7.4億円程度から約113億円へと15倍以上の伸びを見せています。
ココイチの海外展開を利用して、ハウス食品自体も海外における成長を狙っているのでしょう。
買収前から十分なデューデリジェンスが出来ていたはず
ハウスだけでは、こじ開けきれなかった海外展開が実現できるのであれば、この投資は安い買い物になるでしょう。
2015年の子会社化から短期間で結果を出し始めている点を踏まえると、ハウス食品は買収前からココイチを買収後に、どのようなシナジーを産めるか青地図がきちんと描けていたのだと思います。
つまり、十分なデューデリジェンスが行われていたということです。
成功するための条件はたくさんあると思いますが、ここからはトップマネジメントがどれだけコミットできるのか、という点が同社成長における大きな要素になると思います。
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