リゾート会員権は条件さえあえば、社員の福利厚生や取引先の慰労に使えるなど、会社にとって有用な資産となります。その購入費用は全額損金算入することが可能ですが、「どのような用途・目的で購入したのか?」によって、会計処理が変わるため注意が必要です。用途・目的別に、リゾート会員権の会計処理方法を確認してみましょう。
憧れのリゾート会員権ってどんな仕組みなの?
リゾート地の多くでは、リゾート会員権がそこかしこで販売されていますよね。
たとえば、ハワイのショッピングセンターに行くと、ヒルトン、シェラトン、マリオット、など有名ホテルチェーンが、「タイムシェア」という形で、ホテルやコンドミニアムのリゾート会員権を販売しています。
ウリ文句は、
- 毎年ハワイに1週間滞在するならタイムシェアがオトク!
- ハワイにあなたの資産(不動産)ができる!
というものです。
会員権の価格は100〜500百万円くらいが相場で、1室の1/52(1年のうち1週間泊まれる権利)を貰えて、あとは年間10万円前後の管理費を支払えば良い仕組みというのが、モデルケースでしょうか。
日本だと、エクシブ、東急リゾート、星野リゾートあたりが、リゾート会員権の販売では有名どころです。
リゾート会員権の購入費用は福利厚生費?交際費?
さて、リゾート会員権を法人で持つ経営者の方はかなりいらっしゃいます。
というのも、リゾート会員権はうまく使いこなせば、元を取ることができて、その費用を損金算入することが可能だからです。
たとえば、権利を持つリゾートホテル(コンドミニアム)へまともに泊まろうとすれば、1室1泊で10万円(70万円/7日)するのに対して、会員権を300万円で購入できた場合、10年連続で1週間誰か(自分含め)に泊まってもらえば、1室1泊4万円強(30万円/週)支払ってもらうことで、十分に元を取れます。
これを社員の福利厚生や、取引先の慰安のために開放し、その人達に使ってもらえれば喜んでもらえますし、購入費用の全額を損金算入することで節税対策も行えます。
ただし、費用計上する項目は、どのような目的を主としてリゾート会員権を購入するかによって、振り分けの注意が必要です。
福利厚生費
福利厚生費として費用を振り分ける際は、リゾート施設の利用対象者が会社の全社員を対象であり、しかも全員が公平に利用できる必要があります。
この場合、社内で利用規定等を作成し、その旨を全社員に通知しておくとともに、利用状況を記載したノート等を管理しておくことをお薦めします。
交際費
得意先や仕入先等に対する接待目的で利用される場合に交際費として取扱います。
ただし、交際費には上限が設定されていますから、数百万円単位のリゾート会員権を購入する場合、上限に抵触しないか注意する必要があります。
経営者の個人利用目的はもちろん給与で換算に
もちろんですが、経営者が個人利用するために購入した場合は、リゾート会員権の取得に要した費用は、経営者個人の給与として換算され、会社には経営者からの源泉徴収義務が生じます。
また、定期同額給与及び事前確定届出給与のいずれにも該当しないものは、経費計上そのものが否認される可能がある点にも注意が必要です。
更に、リゾート会員権の購入、イコール不動産を購入するようなイメージを持たれている方もいますが、たしかにリゾート会員権は資産ではあるものの、不動産を専有することができるわけではなく、あくまでも条件付きで使用できるだけのものです。
条件も内容によっては使いにくかったり、あまり得でないものもあるため、購入時は慎重に検討する必要がありそうです。