坂本九の「SUKIYAKI」は日本オリジナル曲で唯一ビルボード週間100の1位を獲得した曲だ。しかし、それも既に50年以上前のこと。日系ミュージシャンはアメリカでことごとく破れているように思えるが、2010年台以降、アメリカを席巻しているのは日系ミュージシャンを中心とする「ファー・イースト・ムーヴメント」だ。ぜひ知ってもらいたい。
上を向いて歩こう 日本唯一のビルボード1位
アメリカでは坂本九の「上を向いて歩こう」の海外名「SUKIYAKI」を知っているか?と聞けば、多くの人がハミングできる。
それもそのはず、今でも「上を向いて歩こう」は、海外アーティストにリスペクトされる楽曲であり、1963年6月15日付でビルボード週間100の1位を獲得した日本オリジナルでは唯一の曲だからだ。
しかし、それも既に50年以上前のこと。
第二の坂本九を目指して、多くの日本人歌手がその後も渡米した。ピンクレディー、YMO、松田聖子、宇多田ヒカル等有名歌手が全米デビューしたが、いずれも「SUKIYAKI」のように大ヒットを記録することはなかった。
坂本九以外に、ビルボード100で1位を獲得したアジア圏の歌手はいないのだろうか?
実は、とんでもない勢いでアメリカを席巻している、日系歌手を中心としたヒップホップユニットがいる。
ぜひ読者の皆様にご紹介したい。
アメリカを席巻するFar East Movement
ヒップホップユニット「Far East Movement(ファー・イースト・ムーヴメント)」は、坂本九かそれ以上に、今アメリカで人気のグループだ。ユニット名を和訳すると、「極東アジアの躍動」といったところであろうか。
ファー・イースト・ムーヴメントのミュージックは、アジアのルーツがもたらした価値観、西海岸のカルチャー、ヒップホップ、ダンスミュージックが見事にかけあわさったものであり、軽快なサウンドである。
グループの名前の通り、メンバーである、ケヴ・ニッシュ、プログレス、Jスプリフ、DJヴァーマンのルーツは、日本、韓国、中国、フィリピンとアジアにある。
特にメンバーの中心であるケヴ・ニッシュは、本名「ケヴィン・ニシムラ」といい、日本と中国にルーツを持つアメリカ人だ。
そして彼らが2010年に出したデビュー・アルバム「Free Wired」からの楽曲「Like a G6」は、見事にビルボードホット100で1位を獲得した。同曲はアイチューンズでも全米1位を獲得している。
ファー・イースト・ムーヴメントのヒットは一過性のものに終わらず、彼らはレディ・ガガ、ジャスティン・ビーバー、と言ったアメリカのミュージック・シーンの第一線を行くアーティスト達とコラボレーションするまでに至っている。
以下、彼らの代表曲を2つ紹介しよう。
Live My Life
「Live My Life」はジャスティン・ビーバーとのコラボレーション楽曲であり、2012年の大ヒット曲である。キャッチーなサウンドは、聞いているとつい踊りたくなる。
Turn Up The Love
「Turn Up The Love」は、YouTube動画再生回数8,000万回を超え、クラブミュージックとして日本でも聞き慣れた曲だ。
西洋人はパーティが大好き 知って損はない
ファー・イースト・ムーヴメントを知らなかった方も多いと思うが、彼らのミュージックを豆知識として知ることは、海外ビジネスでも話題作りに役立つかもしれない。
ファー・イースト・ムーヴメントのミュージックは、海外のクラブでいつも流れるメジャーなパーティチューンだ。
そして、西洋(アメリカ、ヨーロッパ)のビジネスマンは、仕事を終えた後のパーティ、特に週末のクラブパーティが好きな人が非常に多いのだ。
「クラブ…えっ、あんなところ」、と日本では引かれるケースが多いが、西洋人にとって、クラブに行って週末のパーティに参加するのは、日本で赤ちょうちんをくぐるのと同じくらい敷居が低いことだ。居酒屋イコールクラブであり、クラブミュージックに親しむビジネスマンは多い。
もし、海外、特に西洋の人々とビジネスで接して音楽の話になった時は、ぜひ日本やアジアをルーツとするミュージシャンとして、ファー・イースト・ムーヴメントの話題を振ってみよう。
相手が若い世代のビジネスマンなら、喜んで話に乗ってくれるだろう。盛り上がって、前よりも彼らと仲良く話ができるかもしれない。