希望小売価格って誰が希望した小売価格?違法表示となる2つのパターン

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 インターネットのショッピングサイトで、街のスーパーマーケットで、安売り商品との比較対象価格として頻繁に目にする「希望小売価格」の表示。希望小売価格とは、誰がどのような形で希望する小売価格なのでしょうか?希望小売価格を比較対象とする場合、どのようなルールを守らなければならないのでしょうか?解説いたします。

安売り商品の比較対象でよくみかける「希望小売価格」

 販売価格の安さを強調するため、自社の販売価格に、それよりも高い「比較対照価格」を併記するのが、二重価格表示です。

 比較対照価格に用いる商品や内容、表示が不適切な場合、景品表示法、特定商取引法上、不当表示とみなされますので注意が必要です。

 特に、よくみかけるのが「希望小売価格」との比較で、商品の安さを強調する手法です。

 希望小売価格とは、製造業者、卸売業者、輸入総代理店など小売業者以外の者(以下、製造業者等という)が、小売業者の価格設定の参考として広く呈示している価格です。

 また、希望小売価格に類似するものとして、小売業者に対してのみ呈示している価格に参考小売価格や参考上代などがあります。

 ここからは、希望小売価格との比較が、景品表示法、特定商取引法上、不当表示とみなされるパターンをみていきましょう。

希望小売価格とは何?比較対照価格として用いる際の注意点

 まず、希望小売価格を比較対照価格として利用する時は、その内容が事実に基づき正確に表示されていることが大前提となります。

 希望小売価格が、不当表示に該当するおそれのある比較対照価格の代表的な表示例としては、

  • ・実際の希望小売価格(参考小売価格)よりも高い価格
  • ・販売する商品と同一ではない商品の希望小売価格(参考小売価格)

 があげられます。

 たとえば、中古品等を販売する際に、比較対照価格として、その商品の新品の希望小売価格(参考小売価格)を用いて表示するのはNGです。

 他にも、希望小売価格を比較対象価格とする時は、以下の点に気をつける必要があるでしょう。

「希望小売価格(参考小売価格)」は公表されたものでなければダメ!

 比較対照価格として用いる希望小売価格は、製造者等によりあらかじめ新聞広告やカタログなどで公表されている価格でなければいけません。

 また参考小売価格も、カタログ等により当該商品を取扱う小売業者に広く呈示された価格でなければなりません。

 《不当表示に該当するおそれのある比較対照価格表示》

 ・製造業者等が当該商品を取り扱う小売業者の一部にのみ呈示した希望小売価格(参考小売価格等)

「希望小売価格(参考小売価格)」を小売業者が自ら設定してはダメ!

 希望小売価格(参考小売価格)は製造業者等が設定する価格ですので、小売業者が勝手に設定をしてはいけません。

 《不当表示に該当するおそれのある比較対照価格表示》

 ・希望小売価格(参考小売価格)が設定されていない場合(撤廃されている場合を含む)に、小売業者が設定した任意の価格

 ・プライベートブランド商品について小売業者が自ら設定した価格

 ・製造業者等が専ら自ら小売販売している商品について自ら設定した価格

 ・特定の小売業者が専ら販売している商品について、製造業者等が当該小売業者の意向を受けて設定した価格 

直近ではABCマートに景表法の措置命令も

 先日も、ABCマートが自社製造(プライベートブランド)の靴にも関わらず、自ら設定した価格をメーカー希望小売価格として比較対照価格に設定して、消費者庁から景品表示法(有利誤認)の措置命令を下されました。

 いわゆる自作自演行為となってしまったわけで、同じような表示はABCマートに限らず、いたるところでみかけるものです。

 セール時の二重価格表示を行う際は、「どこでもやっているから大丈夫だろう」と考えず、正しい比較対象価格を表示するよう気をつけてまいりましょう。

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久保 京子

株式会社 フィデス 代表取締役社長

広告表示のコンプライアンスや消費者視点の顧客サービスを重視した、ネット通販マーケティングのコンサルティング会社です。

景品表示法や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの広告法務や、顧客満足を高める顧客対応など、ネット通販の「守り」の部分をバックアップします。

広告表示規制が強化される中、違法表記は企業の信用やブランド価値の低下など、致命的な事業リスクになりかねません。
また、拡散力が飛躍的に高まったネット時代のカスタマー対応は、ダイレクトに売り上げとコストに影響を与えます。

カスタマー対応はもとより、広告の違反基準となるのは、サービスの受け手である一般消費者目線です。
常に消費者目線を意識することが、事業のリスクマネジメントの基本となります。

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取得資格
内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格 消費生活アドバイザー
※消費者と企業の懸け橋として、企業の消費者志向経営をサポート。
 消費者庁の法執行専門職員(景表法やJAS法などの違反被疑事案の調査補助を行なう)や、
 照会専門職(事業者からの相談対応)の要件となる資格。

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