月間MVPや年間MVPなどの賞と共に、社員へ報奨を与えることは、社員のモチベーションを高める上で効果的な行為です。それでは、報奨のパターンが「寸志+飲み会」「海外旅行」「社員の欲しがっていたモノ」「金券」など数パターンに及ぶ場合、これにかかる費用はどう処理されることになるのでしょうか?解説いたします。
社員表彰で海外旅行贈答!それって経費にできる?
経営者にとって、何かのきっかけがあった際に、社員を褒めるのはとても重要なイベントです。
褒められた社員も、自分が期待されていると感じ、更にモチベーションを高め、更なる成果を会社のためにあげたいと考えてくれることでしょう。
中には折々で彼らを表彰し、月間MVPや年間MVPなどの賞と共に、報奨を与える場合もあることでしょう。
報奨の内容は、
- お金+どんちゃん騒ぎの飲み会
- 海外(国内)旅行
- 社員の欲しがっていたモノ
- 金券
など様々な形が想定され、それぞれについて会計処理の方法が全く違います。
そこで本稿は、会社から社員へ報奨を渡す際の正しい会計処理について解説してまいります。
社員へ渡す報奨〜4パターンの会計処理方法
報奨のパターン1:寸志+飲み会
まず、寸志を渡す場合は、そのお金が会社から出たものか?社長(個人)のポケットマネーから出たものか?で、渡す意味合いが変わります。
会社から寸志を渡す場合は、給与として課税の対象となります。
一方で、個人のポケットマネーから寸志が渡された場合、これは贈与行為とみなされ、年110万円以下ならば、課税の対象とはなりません。
更に、寸志を渡す場所を、会社の全員が集まることを前提とした飲み会等とした場合、この費用は福利厚生費として支出されることになります。
少人数での飲み会、たとえば社員と社長の1対1で寸志を渡すなら、それは交際費として費用支出されることになります。
報奨のパターン2:旅行
もしも旅行が、表彰された社員のみを「慰安する」ことを目的としたものである場合、この費用は社員の給与となります。
しかし、これでは酷だという声もあることでしょう。
そこで、一部社員への報奨を旅行とする場合、国内外を問わず視察研修を目的として行うとすれば、旅費交通費などで経費として計上することが可能になります。
報奨のパターン3:物品
物品については、「一定の水準に到達した人間には皆与えることが可能」という視点から、福利厚生費として処理することが可能です。
ただし、あまりにも高額な商品である場合、たとえばロレックスの時計など換金価値の高い商品については、税務調査において本人の給与とみなされますので、「ほどほど」の商品に収めておきましょう。
報奨のパターン4:金券
アマゾンやグーグルプレイのカードのように、換金性の高い金券は、もらった側にとって現金をもらったのと同じ意味合いを持ち、原則的に給与として換算されてしまいます。
従って、金券はなるべく報奨の対象としないほうが良いでしょう。
見える報奨だけでなく見えない報奨も重要!
いかがだったでしょうか?
与える褒章により、本人のモチベーションがあがれば最高ですが、人のモチベーションをお金やモノで永遠に支配することはできません。
心のこもったプレゼントを与えると同時に、その社員が会社にとって必要とされていることを、言葉で伝えることも忘れないでいたいですね。