自社の商品を業界のトップブランドに押し上げたい。そう考えていらっしゃる経営者にとって、ネーミングは重要な要素の一つです。良いネーミングを行うには「商標登録のしやすさ」「顧客に覚えてもらいやすい」という2つの観点が必要であり、更にこれをどう活かすかも重要となります。2つの観点の活かし方も含め、商標のプロフェッショナルが解説してくださいます。
ブランド化を考えるとネーミングは重要な要素
こんにちは。弁理士の渡部です。
意欲旺盛にビジネスへ邁進される経営者の方なら、自分が開発している商品を、いつかは業界のトップブランドに押し上げたいとお考えでしょう。
ブランド化を考える上で重要な要素の一つに、どのようなネーミングを付けたらよいか?と考える場面があります。
中には自分が愛してやまない商品がゆえに、闇雲に自分の恣意性のみで商品名を付ける方もお見かけしますが、残念ながら、そのネーミングが逆に商品の価値を低くしてしまうケースもあります。
そこで本稿は、「ビジネスにおける実用性」と「ブランド化」を両立したネーミングについて、お伝えしたいと思います。
良いネーミングを行うため知るべき2つの観点
まず、良いネーミングを行うには、以下にあげる2つの観点を知っておく必要があります。
それは、
- 1)商標登録しやすいネーミング
- 2)顧客が覚えやすいネーミング
です。
順番にご説明しましょう。
1)商標登録しやすいネーミング
1つ目は、商標登録しやすいネーミングであることです。
ブランドとして使用するネーミングは、商標登録で保護することができるものでなければなりません。
他社に似たようなネーミングを使われてしまっては、せっかくあなたがよい商品やサービスを提供し顧客からの評判が高まっても、あなたが使うネーミングを見たときに、顧客はそれがあなたのブランドを表すネーミングであると認識できないからです。
ブランドが認識できなければ、顧客はもう一度あなたの商品やサービスを購入しようと思った時に、あなたの元にたどり着くこととができません。
もし、他社が似たようなネーミングを使用したときは、商標登録で牽制し、あなただけのネーミングとして市場におく必要があります。
2)顧客が覚えやすいネーミング
2つ目は、顧客が覚えやすいネーミングであることです。
上でも述べましたが、あなたが使うネーミングは、あなたの商品やサービスに満足した顧客が、もう一度あなたの元に戻ってくるための目印であるので、顧客が覚えやすいネーミングであることが何よりも重要です。
商標登録しやすいネーミングと覚えやすいネーミングは一致しにくい
実は、商標登録しやすいネーミングと、覚えやすいネーミングは必ずしも一致しません。
ですから、両者は下の図のような関係であることを、まず知っておく必要があります。
次に、上の図のような関係に両者があることが分かれば、ブランド化する上でどのようなネーミングがよくて、どのようなネーミングが悪いのかが見えてきます。
すなわち、商標登録しやすく且つ顧客が覚えやすいネーミングを採用することが、ブランド化にとってよいネーミングということになります。
ちょうど上の図で2つの円が重なり合っている部分になります。
ここから更に、ネーミング手法は細分化されていきますが、それはまた今後の記事でご紹介できればと思います。
まずは、あなたの商品をブランド化したいならば、
- 1)商標登録しやすいネーミング
- 2)顧客が覚えやすいネーミング
が合致するネーミングを意識することを、ぜひ覚えておいていただければと思います。