会社を作って一度税理士事務所と契約すると、大抵の場合は会社が潰れるまで同じ税理士さんと二人三脚で仕事をすることになります。従って、自分にとって最適な税理士選びは非常に難しいことです。そこで、自らも税理士であるキミアキ先生が、良い税理士選びを行う上で役立つ、4つの判断基準を教えてくれます。
税理士選びは難しい〜個々で能力は雲泥の差
今日は会計事務所の中の人から見た「税理士さん選び」についてお話します。
税理士さん選びって実は凄く難しい!って思うんです。
というのも、私は昭和63年に初めて会計事務所で働き出したんですけれども、業界の内側から見ると税理士さん間の実力の差っていうのが如実に見えるんですよ。
ですから、本当に力がある腕の良い先生もいれば、腕の悪い先生がたも沢山いらっしゃる。
玉石混交の業界でございます。
税理士になる3つの方法〜試験受けない場合も
まずは、税理士さんになる3つの方法についてお教えしましょう。
1)税理士・公認会計士試験に受かること
税理士の登録をできる人は、税理士試験に受かった人と公認会計士試験に受かった人です。
ただし試験には殆どの人が受からないです。2%ちょいしか受からないので、50倍くらいの競争率なんですよ。
公認会計士試験に受かった人も税理士登録をすることができるので、登録を済ませてから中小企業の顧問になるということが非常に多うございます。
2)大学院に行って試験科目免除してもらって税理士になる
現実的にはこれです。大学院に行って試験科目を減らしてもらうんです。
税金の科目を3つ取らなきゃいけないんですが、大学院に行ってその科目を2つ減らしてもらって、科目を1つだけにして、それで税理士になる。
現在だと、この方法が主流になっています。
3)税務署のOBから税理士になる
税務署に23年間くらい勤めると税理資格を与えられます。要するに退官後に税理士となってお金を稼ぐ形ですね(笑)
このOB組が税理士の半分以上を占めているので、税理士の年齢層って高くなっているんですよ。平均年齢が65歳くらいと言われています。
税理士になった経路で個々の能力に差はある?
じゃあ、どんな経路を経由して税理士になった人が良いかという話です。
先程あげたように、色々な形で税理士登録って出来るんですが、ビジネスセンスで考えると、公認会計士の先生方はセンス良い方が多いですね。
あと、試験組は、試験にはまず受かりにくいですから、んまぁ〜タフでして、病気しないとか、体がメチャクチャ丈夫とか、そういう傾向があります。
OB組、これは要するに”スゴ腕調査官”っていう人がいるわけです。
会計事務所や税理士からしても「あの調査官が来たら もうムリッ」くらいのスゴ腕な人が税理士さんになることもあるんです。
そういう人もいるわけですから、一概には「どこ経由の税理士が良い!」とかは言えません。
それくらい「個人差」が大きい業界なんですよね。
ですから私の妻は税理士法人の代表として、どういう税理士さんを雇うかというと、もう割り切って「全国模試1位を取ったことがある人」を雇っています。
税理士マッチングサイトはなるべく使うな!
それから、税理士選びの手段として使わないほうが良いツールがあります。
それは、マッチングサイト等で税理士さんを紹介しますという紹介会社です。
今だと何社くらいあるんですかね〜、一時は30社くらいありましたけど…
なぜ使わない方が良いかというと、みなさんが払う顧問料の6割は紹介会社に行っちゃうからです。
それくらい高い紹介料を支払わないと、紹介してくれません。
そして、それを利用しないといけない税理士さんっていうことは…もうおのずと分かりますよね?
ですから、紹介会社は使わない方が良いんじゃないかなって私は思います。
税理士を選ぶ選択基準1:何事も近いのが良い
じゃあ、どんな税理士さんを選べば良いの?という話に移りましょう。
税理士さんを選ぶ時は、「何事も近い」のが良いと思います。
1番は考え方ですが、年齢や場所も、ほんとにね何事も近い方が良いと思います。
1回税理士さんと契約すると、会社が潰れるまでその税理士さんとず〜っと二人三脚でやって行くことになりますから、やはり考え方が近くないとお互いやりにくいと思うんですよ。
ですから考え方、年齢、それから場所的にも近い方が良いかなと思います。
場所に限って言えば、最近スカイプなどの技術が出来てからは、場所的な遠さっていうのはあまり感じないような形である程度出来るな!というのは分かりました。
というのも、社長さんていうのは何をすると喜ぶかっていうと、一緒に考えてあげることが1番のサービスなんですよ。
中小企業の社長さんに1番近いのは税理士さんですからね。
ですから、社長さん側からしたら、自分と一緒に考えてくれる税理士さんを選ぶとよろしいですね。
税理士を選ぶ選択基準2:若手でイキの良い人
あとは、開業したばかりの若手の税理士さんなんか、本当におすすめだと思います。
私が自分の会社で顧問を探すなら、開業したばかりの若手を選びます。
まだ、開業したての頃っていうのは、彼らもお客様の数を持っていないはずなんです。
能力が凄く高くても年数が浅い分、ただ単にお客様の数を持っていないだけというパターンが多いわけですよ。
だから、自分の目で「コイツ!優秀だ!!」っていう人材を探して、その若手税理士さんと一緒に自分も成長して行くっていうのも、本当に楽しいと思うんですね。
ということで、私が1番におすすめしたいのは、開業したばっかりの、3年以内の若手税理士さんから選ぶことです。
税理士を選ぶ選択基準3:Excelを操れる先生
それからExcelマスターな税理士先生と組むと、非常に助かると思います。
Excel使いの先生っていうのは、他にも全部合理化しているはずなんですよ。
とにかく社長さんの手間がかからない形で、最小の手間で済ませてくれるような思考の持ち主だと思います。
Excel使いの先生を選ぶのも1つ参考になると思います。
税理士を選ぶ選択基準4:料金が安すぎはダメ
それから優秀な税理士さんというのは、節税対策が出来ないっていうことがまずありません。
実は、会社にとって効果の大きく有効な節税手段って、10個くらいしかないんです。
節税する際は、税務申告書の作成以上に、色々書類をたくさんたくさん作っていかないといけないっていうのがあるので、やっぱりある程度の料金は払った方が良いですね。
我々もよく相談を受けるんです。
「ウチの税理士先生はちっとも節税対策をやってくれない〜」って。
そういう時は必ず料金を聞きます。「おいくら先生にお支払いですか?」って。
そうするとだいたい年間20万円台なんですね。
「それですとね、やっぱり税務申告書の作成代行料にしかならないから、本当に節税対策がしたいんだったら、先生にもう少しお金を払って、節税対策の相談に乗ってもらって下さい」ってお答えしています。
優秀な税理士さんで節税対策が出来ない人なんて、まずいないんです。皆、何をやれば節税効果が大きくなるのかも分かっています。
特に会社だったら、入り口は役員報酬の額をいくらにするか、それだけで凄く変わってきますので、そのくらいの節税対策も出来ないなんて、まず考えられない。
ですから、顧問料などのサービス料金も良く見極めて考えましょう。
「なぜ、ここの会計事務所はこんなに安いんだろうか?」って言う税理士さんの場合、節税対策まではやってくれなくて、「ただ単に税務申告書の作成代行。それしかやりません」っていう料金設定になっているっていうことも多かろうと思います。
私だったら、若手の中から「この人と一緒に成長して行きたい!」っていう人を選ぶ。
この税理士選びの手法をとりたいと思います。