起業時や新規事業を始める際、私達はどうしても「どうすれば利益を得られるか?」といった質問から、これについて考えがちですが、それよりも大事なのは、自らの社会に対する存在意義を最初に問うことです。ヘンリー・フォードが、社会における自らの存在意義を問うた質問はその好例です。
フォードが事業を始める際に自らへ問うた質問
1900年代初頭、自動車があまり普及していなかった時代において、自動車メーカーが最大の関心事を寄せていたのは「性能の向上」でした。
しかし、後に「アメリカの自動車は半分がT型フォード」と言わしめたヘンリー・フォードだけは、「どうすれば大量生産できるか」と考えました。
フォードは、なぜこのような問い掛けをしたのでしょうか?
彼は、自動車の性能を高めて、一部の人のものにするのではなく、もっと多くの人に自動車を普及させたかったのです。
そのためには、もっと安価に、大量に生産しなければならない。どうすれば、それが可能になるのか?
それが、彼の自分に対して問いかけた質問だったのです。
自らの存在意義を問わねば事業の継続は難しい
フォードが成功した原因、それは、適切な質問を自らに設定し、その回答を徹底して考えたからです。
起業したり、新規事業を立ち上げる際、私達は、
市場ニーズはどこにあるのだろうか?
誰をターゲットにすればいいのか?
このような質問を、まず自分自身にぶつけて回答を得ようとします。
しかし、この質問をする前に、多くの人が問いかけ忘れている、もっと大事な質問があります。
それは次の3つです。
- 1 私は誰なのか?
- 2 私の人生は何のためにあるのか?
- 3 私は何をやるべきか?
起業や新規事業を考えていく際は、私たちの存在そのものへの問い掛けが、まずは必要なのです。
なぜなら、私たちには仕事を通して、果たすべきミッションがあるからです。
これを明らかにしていくと、仕事は単なる労働から、ライフワークへと変化します。
ミッションを果たしていくという、強いモチベーションが起業や新規事業をを成功に導いていきます。
ビジネスを成功させるために、人生を充実したものにするために、ぜひ、この3つの質問から起業を考えてください。
「存在意義」とはどうすれば顧客や社会の役に立てるか?ということ
ここまで読んでいただきましたが、きっと読者の皆様の中には、
そんなことを言われてもなぁ…、
ビジネスは稼いでなんぼでしょ。
と考えられている方もいらっしゃることでしょう。
そんな場合は、次の質問に答えてみてください。
「もし、お金の心配がなかったならば、あなたは何をしたいですか?」
これがあなたの人生の目的なのかも知れません。
どのような事業をやるかが決まったら、次はもっと具体的なことを検討していく場合の質問です。
私の知合いの経営者で、成功している人の言葉が今でも印象的なものとして残っています。
「毎晩、寝る前に、明日はどんなことをしてお客さんに喜んでもらうおうか?こんなことを考えるとワクワクしてくる。」
ところが多くの人々は、
売上げをどう上げていこうか?利益をどう確保していこうか?
このようなことだけ自問自答して、満足のいく回答が得られずに、モヤモヤした気分で毎日を送っています。
自分への質問を「何が自分の特になるか?」から「どうすれば顧客や社会の役に立てるか?」に変えることによって、成功するための答えは見つけ出すことが可能になるのです。
画像:ウィキペディア