9月23日の日本サプリメント(株)のトクホ表示許可の取消し事件を受けて、消費者庁は既存のトクホ商品について、関与成分量の点検結果を踏まえた緊急度の高い商品の買い上げ調査を発表しました。平成29年度からは機能性表示食品、栄養機能食品の同様な調査が行なわれることも判明しています。
トクホ表示認可取り消しの大きなインパクト
9月23日の日本サプリメント(株)のトクホ表示許可の取消し事件は、業界に大きなインパクトを与えたことと思います。
事件を受けて、保健機能食品の品質管理規制について、9月28日に行われた岡村消費者庁長官記者会見で、行政としての見解が語られました。
現状、トクホが永久許可制という企業の良識に期待せざるを得ない制度である以上、事態を消費者庁に報告しないまま放置していたことを悪質と判断し、二度とあってはならないことを示すための処分であった、ということです。
認可取り消しで既存のトクホ認可商品にメス
気になる再発防止策については、まずはトクホ許可商品(1,200超)について、関与成分量が許可申請書の記載どおり適切に含有されているかの調査が全ての申請者に依頼されています。
この点検結果を踏まえて緊急度が高いものから、来年度実施予定だった買上げ調査が、前倒しで行われることになりました。
規制緩和の流れで廃止された更新制度の復活については、更新制度が残っていれば今回の事件の早期発見ができたかもしれないとしながらも、過去に戻るのは難しく、現制度の中でベストを尽くすと語っています。
ただし、制度の信頼性に関する判断については、各方面の意見を聞き、消費者の立場を考えて、しかるべきときに検討することになる、と余韻を残しました。
買い上げ調査が機能性表示食品・栄養機能食品へも拡大
また、消費者庁は10月12日、同じく国の許可が必要な特別用途食品に関しても、同様の品質管理に関する調査依頼通知を発出しました。
29年度の買上げ調査の対象としては、機能性表示食品、栄養機能食品といった他の保健機能食品も対象となるとしています。
先日の記事で取り上げた機能性表示食品に関する調査では、食品関係企業の2/3が機能性表示食品の取扱いに関心を持ち、小売業では45.6%が既に機能性表示食品を取り扱っているというデータとなっています。
制度上、企業の自主性を尊重して良識に頼っているものであるからこそ、消費者の信頼を裏切ることのないよう努めてほしいと思います。