配偶者控除の見直しが検討されており、これまで配偶者控除を受けてきた人にとって税負担が増すマイナス面に注目が集まっています。一方で今回の見直し検討は、女性が厚生年金へ加入する機会の拡大が見込めたり、来年1月から実施される確定拠出年金の対象者拡大による恩恵へ預かれることなど、プラス面が存在するのも確かです。
配偶者控除は時代にそぐわぬ制度と化してる
先日、自民党の宮沢洋一税制調査会長が2017年度の税制改正で、専業主婦世帯を優遇している所得税の「配偶者控除」の見直しを表明しました。
今回の検討は、専業主婦が配偶者控除の適用を受けるためにフルタイムの仕事を避ける傾向があり、また制度の存在が女性の社会進出を妨げている側面があるとの指摘があるからです。
現在のように少子高齢化と人口減少が進む中で、労働市場における女性の力はますます欠かすことが出来ない存在になっています。
そういう意味では、働く時間に制約を設けるようなこれまでの制度は、今の時代にはそぐわないものになってきているのでしょう。
配偶者控除の廃止にはプラス面も存在する
今回検討されている見直しの中身は、夫婦であれば共働きでもそうでない場合でも、一定の控除が受けられる「夫婦控除」を設けるという案のようです。
この案はこれまで配偶者控除を受けてきた方々にとって税負担が増す制度となり、少なからず反対意見があると思います。
ただし、今回の見直し検討がもし実現すれば、税負担が増えることばかりに目を向けるのではなく、プラスの作用が生まれることにも目を向けたほうが良いでしょう。
プラスの作用とは、女性が厚生年金へ加入する機会が拡大されることです。
将来、国民年金だけではなく厚生年金も受け取れる女性が増えれば、老後生活の安定にも繋がりますし、夫だけに頼らない経済的に自立したライフプランをつくることが可能になるからです。
確定拠出年金の所得控除が配偶者控除に代わる
とかく配偶者控除に関しては、所得控除のメリットばかりが注目されていますが、政府は控除の代替案として「確定拠出年金制度」の活用を積極的に推し進めています。
その端緒として、来年の1月には「個人型確定拠出年金」について、専業主婦や公務員が新たに加入することが可能になります。
確定拠出年金制度は、将来の「自分年金」を作りながら、所得控除のメリットを享受することが出来る優れた制度です。
将来的に見直しが避けられないといわれる配偶者控除に頼ることなく、確定拠出年金制度を活用して「貯めながら節税する」ことに目を向け、消極的ではなく、積極性な税制優遇の活用を考えた方が、明るい未来が拓けるのではないでしょうか。