日本国内で既におおよそ550万人の方が確定拠出年金の運用を行っています。今年の5月末には法改正により、運用ルールが簡素化され、適用対象者の枠も大幅に広がりました。ところが、まだイマイチ確定拠出年金の良さがわからないという方もいらっしゃいます。そこで本記事では、確定拠出年金が持つ3段階の節税効果をご紹介します。
確定拠出年金は3段階で税制優遇を受けられる
先日の記事でもお伝えしたように、今の日本で老後の資産形成をする行う場合、最も有利な環境で積み立てを行えるのは「確定拠出年金制度」です。
わかりやすく言うと、確定拠出年金の運用ルールは、「タックスヘイブン」と同様の投資環境下で資産形成を行うに等しいものとなります。
なぜなら「確定拠出年金制度」に設けられている税制優遇は、「拠出時」「運用時」「受取時」の、3つにも及ぶ段階で用意されているからです。
本記事では、「拠出時」「運用時」「受取時」の3段階で、どのようなメリット(節税効果)が用意されているかを、詳細にご紹介したいと思います。
確定拠出年金の税制優遇:3段階を詳細に解説
第一段階:拠出時
まず、運用に使うお金を拠出する段階での税制優遇です。
例えば、生命保険料控除では、保険料支払いの対する所得控除の上限が4万円などと定められていますが、確定拠出年金制度では拠出する金額のすべてが所得控除の対象となります。
つまり、仮に所得税率10%、住民税率10%の方が、年間10万円のお金を確定拠出年金に拠出した場合、2万円の節税効果を生む計算になります。
銀行の普通預金の金利が限りなくゼロに近い現在の状況の中で、10万円を拠出して2万円のリターンを得ることと同様の効果を得られる制度は、いまの日本では確定拠出年金制度しかないでしょう。
第二段階:運用時
次に「運用時」の優遇についてですが、日本では運用時に利益が出た場合、利益に対して20%の税金が課されます。
例えば株式の売買によって10万円の値上がり益が発生した場合には、通常8万円しか受け取ることができません。
しかし、確定拠出年金の口座で運用している資産には運用益に対する課税がありません。つまり、確定拠出年金口座の運用で得た運用益の全額を再投資に回せるわけです。
20%が引かれるのと引かれないのでは、運用成果への影響が、投資期間が長くなればなるほど大きくなります。なぜなら投複利効果があるからです。
資産運用の目的が「老後の資産形成」であるならば、間違いなく「確定拠出年金」を利用するべきなのです。
第三段階:受取時
最後に「受取時」の優遇税制についてですが、積み立てたお金を一時金として受け取る場合には「退職所得控除」と言われる制度が適用されます。
退職所得控除は、長年の働きにもとづいて支払われる退職金が、老後の貴重な財産になりうるお金であることを考慮して設けられた税制優遇措置です。
勤続20年までの期間は年間40万円(20年で800万円)、それ以降は年間70万円ずつの退職金の控除枠が増えていくという制度です。
例えば、大卒60歳定年退職(勤続38年)なら、2060万円までの退職金は非課税で受け取ることができます。
この退職所得控除が確定拠出年金にも適用されるのです。
確定拠出年金では、拠出期間が勤続年数としてカウントされるため、大きな節税効果が期待できます。(年金で受け取る場合にも、公的年金等控除が適用されます)
老後の年金は国に頼らず自分で作る時代に突入
このような「拠出時」「運用時」「受取時」の3段階で税制優遇が受けられる資産運用は、日本では確定拠出年金制度しかありません。
日本でも、シンガポール等タックスヘイブンと同様の投資環境下で、私達は資産運用を行うことが出来るのです。
これからは、自分の年金を自分で準備する時代です。少しずつでも投資の勉強をはじめて、第一歩を踏み出すことが大切です。