パイオニア音響撤退 事業の選択と集中のモデルケースとなるか

時事

 パイオニアが今年の3月をもって、祖業である音響部門から撤退する。ドラッカーは「事業においてもっとも重要なことは、選択と集中である」語った。アップルもソフトウェアを捨てて、ハードに集中し復活した。パイオニアもカーナビ部門に集中することで今後「選択と集中」の成功例として復活を遂げられるか?身近な企業ゆえ注目したい。

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パイオニア 今期末を持って祖業を捨てる

 パイオニアの音響撤退がいよいよ3月に迫っている。

 2014年9月、パイオニア株式会社が事実上、音響事業から撤退することを発表した。子会社で運営している音響・映像機器事業を、同じく音響機器メーカーのオンキヨーと今年3月に経営統合する予定だ。

 経営統合後も、パイオニア、オンキョーともにブランド名は残る。パイオニアは統合会社の株を保有し、一定の関与を続けることも発表しているが、権威ある音響メーカーがまた1つ、歴史から姿を消すことになった。

 1937年(昭和12年)に日本国産初のダイナミックスピーカー「A-8」型を開発したことから始まった、祖業を捨てる衝撃は大きい。

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カーナビに集中 選択と集中の注目ケース

 パイオニアは今後、カーナビ事業に集中することになる。パイオニアが2月9日に発表した直近業績は、円安効果に加え、カーオーディオがOEM・市販共に増加し、営業利益も原価率の良化や増収により、51.3%増の増益となっている。
 
 経営学の権威、ドラッカーの名言に「事業においてもっとも重要なことは、選択と集中である」という言葉がある。

 会社を成功させる上で、得意な事業領域を明確にし、経営の資源を集中的に投下するという戦略だ。ドラッカーの言う「選択と集中」はすなわち「何かを捨てること」も指している。

 現時点では、パイオニアの選択と集中は功を奏していると言えよう。

 過去の例をあげるとアップル社も、この理論にぴったり合致する会社だ。

 マイクロソフトとアップルは、パソコン製造の歴史の中でたえず対立し続け、ウィンドウズ95が世の中に出た時点で、ソフトウェアにおける軍配はマイクロソフトに上がった。

 アップルは一旦そこで自社開発のソフトウェアを捨て、ハードの世界へ集中し、そこで出現したのが「iMac」である。

 初代iMacは、無機質な色が当たり前だと思っていたパソコンに、スケルトンやカラフルな視覚要素が加わえ、多くのユーザーに衝撃を与えた。

 その後アップルが躍進を遂げているのは読者の皆様もご周知のとおりである。

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事業の「選択と集中」にはリスクもある

 時代の流れとともに、衰退していく事業があるのは当然である。 

 しかし選択と集中にはリスクが伴い、間違えると大きな痛手となる場合もある。

 例えば、シャープの液晶テレビ、アクオスの「亀山モデル」作られた工場に付加価値があるという珍しい現象は大きな話題になった。しかし、10年経たない間に海外で製作されるようになり、商品に付けられていた「亀山」のステッカーもいつのまにか消え去った。

「集中と選択」を行い、どのように企業が変化していくのか、身近なモデルケースとして、今後のパイオニアに注目したい。

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