1989年に大ヒットを遂げた「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」を覚えているだろうか?映画で描かれた未来が、ちょうど今年「2015年」である。1月7日に米NIKE社は、映画に登場した自動靴ひも調整システム搭載の「Nike MAG」を今年中に発売することを発表した。映画に描かれた世界は、少しずつ実現し始めている。
Nikeがあの靴を発売 映画の世界が現実に
1989年に大ヒットを遂げたロバート・ゼメキス監督による映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2(以下、BTF2)」を読者の皆様も鮮烈に覚えていることと思う。
BTF2は、シリーズの主人公マーティン・マクフライが、未来にタイムスリップし、うだつのあがらない将来の自分と結婚した恋人ジェニファーを、ガキ大将から悪のボスになったビフに奪われそうになるのを阻止し、未来のマクフライ家を守る、という内容だった。
時空を自由に移動するデロリアン、街の上空を自由に行き交う車、宙に浮くホバーボード、メガネ型の情報選択ツール、といった映画に登場する様々な未来のツールに圧倒されたことは今でも忘れない。
そして映画で描かれた未来が、ちょうど今年「2015年」である。
そんなリアルBTF2世代を生きる我々にとって、ビッグニュースが年明け早々飛び出した。
米Nike社が1月7日に、映画で登場した自動ヒモ締め機能付きの靴「Nike MAG」を、2015年内に開発と発売に漕ぎ着けようとしていることを発表したのだ。
TINKER TALKS NIKE MAG 2015 RELEASE WITH POWER LACES AT #AGENDAEMERGE
2011年にも同デザインで「Nike MAG」はレプリカ発売されていたが、当時は自動ヒモ締め機能はついていなかった。今回のモデルでは、自動ヒモ締め機能が搭載され、ついに映画の世界が実現される。
なお今回の発表には、「Nike MAG」の開発者・デザイナーであるティンカー・ハットフィールド氏があたった。
こんなに実現されている BTF2登場の商品
「Nike MAG」がデビューすることは確かに驚きである。しかし、我々はBTF2に登場した商品を、既に様々な形で生活に導入している。以下、例示したい。
1)映像リアルタイムコミュニケーション
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未来のマーティンが画面を通じてボスとコミュニケーションを取り、ついには首を宣告されるこのシーン。我々は既にスカイプやフェイスタイム等の映像コミュニケーションツールを利用して容易に取得している。
2)薄型壁掛け(多番組視聴)テレビ
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薄型壁掛けテレビは既に主流となり始めており、多番組をマルチ割り画面で見ることも一般化している。今年は3Dテレビ元年とも言われており、むしろBTF2以上に進んだ世界がテレビ視聴に訪れている。
3)3D映画
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未来にたどり着いたマーティンが飛び出すジョーズに驚くシーンは、3D映画の到来を予告した。2015年の時点で、我々は映画館で子どもと一緒に3D映画を見ることを、家族の楽しみとしている。それどころか、4DX映画ならば3Dの映像はもちろんのこと、モーションシートが、映画のシーンに完全にマッチした形で動き、煙や香りを出し、水が飛び散り、五感を刺激する。
4)タブレットコンピュータ
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BTF2に出てきて、我々の生活へ一番深く浸透しているものと言えば、タブレットコンピュータかもしれない。映画の中では大きさを自由に変えることが可能なPCとして登場しているが、持ち運び可能でインターネットとも楽に接続できる便利な状態であることは、映画の世界か、それ以上に進化している。
商品以外にBTF2が描いた未来の世界
想像豊かにこれら未来の世界を描いたロバート・ゼメキスは、この映画で革新的な進化をとげるテクノロジー意外に、21世紀もう一つの側面を描いている。
それは、徹底した格差拡大が起こった情報統制社会である。
暗躍する企業のボスとなったビフの支配する企業は、金の力で国家から主権を奪い、情報を得る手段は増えているのに、群衆はビフを支配するように歪められて操作されている。
進化し続けるテクノロジーも、使い方を一つ間違えれば、ビフのような人間が暗躍する未来につながってしまう。
人間の倫理が今まで以上に問われる、リアルなBTF2時代がいよいよ幕を開ける。
※YouTube 11 Things Back to the Future Part II Gave Us Before 2015 – Fan-Angry Movies