今年は外国人訪問客が1,500万人に到達し、インバウンド消費(海外旅行客の国内消費)は益々拡大することが見込まれている。恩恵を受けるための手っ取り早い手段として免税店の開設があげられる。取り扱い品目の制限も消耗品含めて大幅に解除され、免税店の開設許可にかかる手間も少ない。検討してみるのはいかがだろうか?
インバウンド消費は拡大の一途をたどる
昨年初めて訪日外国人が年間1,300万人を突破し、今年は約1,500万人の外国人が訪日することが見込まれている。
しかし、国が掲げる目標は、2020年東京オリンピック開催の年に、2,000万人の外国人が訪日することであり、インバウンド消費は計り知れない潜在的需要を有していると言えよう。
如何に今回のチャンスを掴めるかであるが、手っ取り早いのは訪日外国人向けの免税店(消費税免除)免許を取得して、インバウンドに自ら商品を売り込むことだ。
そして国はそのチャンスを私達に与えてくれている。
平成26年10月1日から、従来免税販売の対象となっていなかった消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品類その他の消耗品)を含めたすべての品目が新たに免税対象となったのだ。
各地の特産のお菓子や地酒などの地場産品までありとあらゆるものが対象となり、訪日外国人に買ってもらうチャンスができるように、政府は消費税免税制度を活用した誘客を民間事業者へ積極的に行うことを奨めている。
意外と簡単 免税店の免許を取得する方法
街で良く見かけるようになった「DutyFree」の看板であるが、どのように免税店となれるか手順をまとめた。
1)申請場所
納税地を所轄する税務署に許可を受けようとする「店舗ごと」に申請することが必要となる。複数店舗分まとめて申請することも可能だ。
2)申請に必要な書類
「輸出物品販売場許可申請書」を記載して申請する必要がある。 (ダウンロードはこちら)付帯書類として、許可を受けようとする販売場の見取り図、社内の免税販売マニュアル、申請者の事業内容が分かるもの(会社案内、ホームページ掲載情報があればホームページアドレス)、許可を受けようとする販売場の取扱商品(主なもの)が分かるもの(一覧表など)が必要だ。書式は自由である。
3)最終的な開設許可の審査
期間は大体2〜3週間程度で、よっぽどのことがなければ実地検査もない。消費税法で定められた以下5つの基準で審査が行われることだけは最低限押さえておこう。
- ⅰ 販売場の所在地は、「非居住者の利用度が高いと認められる場所」であること。
- ⅱ 販売場が「非居住者に対する販売に必要な人員の配置」及び「物的施設(例えば非居住者向特設売場等)を有する」ものであること。
- ⅲ 申請者が許可申請の日から起算して過去3年以内に開始した課税期間の国税について、その納税義務が「適正に履行されている」と認められること。
- ⅳ 申請者の「資力及び信用が十分」であること。
- ⅴ 前各号(1から4)のほか許可することにつき特に不適当であると認められる事情がないこと。
ガチガチに見えるかもしれないが、どの条件も噛み砕くと、厳しいものではない。大抵のケースでは許可が降りる。
実際に免税店を始めたら気をつけること
免税店を始めたら気をつけるべきことが2つある。
1つ目は既存の日本人客を大切にしないとリスクが生じること、2つ目は会計の事務処理に一手間加わることだ。
既存の消費者(日本人)が離れてしまう店舗を作ると、いざ円高になり外国人客の消費が落ちたときに、経営が成り立たなくなる。
事務処理の手間というのは、税務署に提出する免税申告書に付随する情報入力であり、外国人客のパスポート情報と購入商品明細、本人のサイン提出が必要となることだ。
国がせっかく作った収益拡大のチャンスを活かせるよう、免税店の開設を検討してみるのはいかがだろうか?
※参考 国土交通省 観光庁
http://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/index.html