一昔前のチャットと言えば、いわゆるオンタイムで”会話”をするためのものでした。しかし、ここ最近、「ビジネスチャット」に特化したサービスが、IT業界を中心としてコミュニケーションのメイン手段となりつつあります。社内の情報共有や伝達の遅れは、致命的な弱点となります。ビジネスチャットを利用しませんか?
チャットを利用したビジネスシーンが広がる
ここ1年ぐらい顕著なのですが、ビジネス上のコミュニケーション手段でメールを使う機会が、めっきり減りました。
その代わりに私が使っているのはチャットです。
「今更チャットかよ」と思われる人もいるかもしれませんが、ここ最近、一昔前のチャットとはひと味もふた味も違う「ビジネスチャット」に特化したサービスが、IT業界を中心としてコミュニケーションのメイン手段になりつつあります。
インターネットが広がっていった頃に流行ったチャットと言えば、いわゆる”会話”をするためのものでした。
懐かしのQチャットや、Skypeのチャット機能などは、チャットをする双方が端末の前にいることを前提としたコミュニケーションです。
いわゆる「同期コミュニケーション」と言われるもので、電話をする代わりにチャットをする、という発想が根底にあり、双方が時間を共有(=同期)することによって成立するものです。
即時性が抜群にある反面、やり取りが刹那的になり、その履歴や記録を重視するものではありません。
ビジネスチャットを利用すべき3つの理由とは
現在、IT系を中心に使われているSlackやChatWorkなどのビジネスチャットは「非同期コミュニケーション」を前提に設計されています。
チャットワークのコミュニケーション例
先ほどの例とは逆で、双方の時間を共有しないこと(=非同期)が大前提になっており、双方が端末の前に座ってチャットをやり取りするという使い方はほとんどされません。
この分類でいくとメールももちろん「非同期コミュニケーション」に分類されますので、これまでメールで行われていたビジネス上のコミュニケーションが、これらのビジネスチャットツールに置き換えられているというのが現在の状況です。
では、これまで長らく使っていたメールがここ数年でなぜビジネスチャットに移行しているのでしょうか。その理由は主に以下の3つです。
1)簡潔なコミュニケーション
メールは、いわゆる「手紙」をインターネット上に再現したものです。それゆえに日本ではいまだに冒頭に
A様
いつもお世話になっております。
●●社の××です。
という風に始めることがビジネス上の慣例となっており、マナー研修などでもそう教育されています。
社内メールであっても「お疲れ様です。」などという挨拶文は、マナーとして必須だとされています。
しかしチャットであれば、そんなものは必要ありません。ダイレクトに「昨日のあの件ですが・・・」という風に書き始めることができます。
FacebookやLINEの普及により、プライベートでもメールを使わない人たちが増えてきており、メールの件名や冒頭の挨拶文の必要性が薄れてきているのです。
ビジネスのスピードはITの進化にともなって格段に上がってきています。
にもかかわらず、前時代的なメールはその進化に全くついてきていません。
スピードを重視する上で、人々が簡潔なコミュニケーション手段であるビジネスチャットに移行するのは、自然な流れだと言えるでしょう。
2)履歴の検索
Gmailが普及したおかげでメールの検索性のかなり上がりましたが、それでも色んなことが書いてあり、かつ、ずっと返信を繰り返していくメールの検索結果は、必ずしもダイレクトで欲しい結果を得られるわけではありません。
そのため、社内で「あのメールもう1回転送して!」といった無駄でしかないコミュニケーションまで発生します。
一方でチャットの場合は前述の通り、ダイレクトで必要なことだけを投稿するため検索結果も欲しい情報にダイレクトにたどり着く可能性が高くなり、かつ、ビジネスチャット系のツールは非常に検索機能が優秀です。
非同期コミュニケーションは、いつ・どこでそのチャットを見てもいいという前提がありますので、そのためには検索機能は重要です。
その場限りの刹那的なコミュニケーションではなく、後からその投稿にたどり着けることが非常に重要なのです。
3)情報共有が容易
メールというツールでは、情報共有にCCやBCC、はたまたメーリングリスト(いわゆるML)が長らく使われてきました。
送る側はメールをする際に情報を共有した人たち(またはML)をCCやBCCに追加するだけなのですが、これが日常化すると大変なのは受信者側です。
メールボックスはあっという間に未読メールで溢れ、ちょっとメールを見ないだけで100通を超える未読が表示されます。
しかもその大半は「ちょっとした情報共有」程度のものですので、重要度の低いものが大半です。
整理能力に長けた人はフィルター機能などを使って上手に整理するのですが、ITリテラシーの低い人はそれができないため、すぐにメールを見ることを諦めてしまいます。
つまり情報共有のための機能こそが、実は情報共有を阻害しているのです。
ITに疎い年配の役職者の中には「メールは読まない」と豪語する人たちも多数います。そうなると結局口頭での情報共有や説明が必要になり、ものごとが進むスピードが非常に遅くなります。
それに対してビジネスチャットでは、グループ(もしくはチャンネル)と言われる情報共有の単位を事前に作り、そこに投稿をしていきます。
前述の通り、無駄な挨拶など抜きで必要なことがどんどん投稿されますので、投稿数が増えたとしてもザッと読み返すこともできます。
メールのように1通ずつ開かなければならないツールと比べると、確認する手間が雲泥の差です。
もちろん参加人数が増えていくと、未読が100件を超えることはこちらでも起こりますが、時系列で確認することができるので、役職者もパッと眺めて、気になった部分は後から投稿者に質問するなどすればいいのです。
コミュニケーションの遅さは致命的弱点となる
情報共有はビジネスで非常に重要です。
会社として仕事をしている以上、役職者や経営者は「担当者が勝手にやったことです」では済まされません。
もちろんすべてを細かく把握している必要はありませんが、今どんなことが起こっているのか?ざっくりした概要は把握しておかなければなりません。
しかし、メールは基本的には1対1のコミュニケーション手段であり、そこに無理矢理に付け足したCCやBCCでは情報共有するどころか、むしろ情報共有を阻害するということになっているのです。
ITによってビジネスのスピードがどんどん上がっていく中で、メールというツールはほとんど進化してきませんでした。
その中で登場したビジネスチャットに、コミュニケーションの王者としての立場を奪われるのは、必然の結果と言えるでしょう。
まだ、外部とのコミュニケーション手段はメールがメインですが、社内のコミュニケーションにおいてはすべてをチャットに置き換えることも可能です。
社内メールが減るだけで、あなたのメールボックスは驚くほど見やすくなるでしょう。
情報共有が進まず、コミュニケーションスピードも遅いことは、これからのビジネス展開において致命的な弱点となります。
まずは自分の周りからビジネスチャットを導入してみましょう。
次回はこの分野で2大勢力である、SlackとChatWorkについて、それぞれの強みを解説してみたいと思います。