会社は長い年月の中で多くの従業員を雇用します。中には何らかの理由で就業規則に定められている手当を支給せず、従業員を雇用する場合も考えられます。ところがここにトラブルの要因があります。就業規則の文章次第で、交通費を余計に支払わなければならない場合があるのです。どのように対策を打てば良いのでしょうか?
従業員によって手当が変わることはよくある話
多くの会社では給料として、基本給の他にも様々な手当が、従業員に支払われています。
法律では手当に関しての特別な制限が無く、手当の額や支払い方法は、会社が任意に定めれことができます。
例えば、通勤手当を支払う場合に、会社から自宅までの直線距離に応じて支給しても、実際の通勤手段に応じて支給しても、会社がその支給の方法を自由に決めることができます。
ところで、会社は長い年月の中で多くの従業員を雇用しますから、中には何らかの理由で就業規則に定められている手当を支給せず、従業員を雇用する場合も考えられます。
特に、中途キャリア採用などの場合は、手当などの待遇条件も人によって変わることがあります。
そして、このことが後に大トラブルを起こす要因となり得るのです。
雇用契約では合意したはずなのに余計な支払い
これは、実際に私が経験したことなのですが、就業規則に通勤手当の定めがあったのですが、従業員との話し合いで、基本給のみの給料で合意しました。
実際には、基本給の額が他の人より多く、通勤手当の額も含んでいる形でした。
しかし、その従業員が退職後、通勤手当の支給を要供してきたのです。
入社する時には会社と従業員との間で、基本給のみで合意していたので理不尽な要求に思えます。
このトラブルがどうなったかと言いますと、結局は会社が交通費を支払わなければならなくなりました。
なぜかといいますと、就業規則に「交通費を支給する」という文言があったからです。
社員の入社時に、社員の待遇に関する取り決めを交わす契約は、雇用契約(又は、労働契約)と言います。
実は、就業規則の内容と雇用契約の内容では、就業規則の内容が優先されます。
就業規則の内容に対して、雇用契約は法律的に劣るため、その部分が無効となってしまうのです。
就業規則に一文加えるだけで事態は解決する
先の例で言えば、就業規則に通勤手当を支給する定めがあるわけですから、雇用契約で通勤手当を支給しないという約束は、たとえ従業員との合意があっても、それは無効となってしまうという考えなのです。
このような事態を防ぐためには、一体どうすればよいのでしょうか?
答えは簡単です。
就業規則自体に、「各手当については、雇用条件等により支給しない場合がある。」という規定を盛り込んでおけば、手当を支給しない場合でも、就業規則の内容に劣ることが無くなると言えます。
このように、わずか一文ですが、少し工夫をすることで、無用なトラブルを防ぐことができますので、今一度、就業規則を見なおしてはいかがでしょうか?