意識が高くてやる気もあるのに成果を出せずに空回りする新人くんとの接し方

労務

4月にキラキラとした目で入社してきた新人くん。意識が高くてやる気まんまんで、経営者も先輩も「こいつは楽しみだ!」と息巻いています。ところが数カ月後、彼はどんどん仕事でミスをして、やってもやっても仕事のレベルが落ちていきます。なぜこのようなことが起こるのでしょう?会社は彼のことをどう扱えば良いのでしょうか?

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元気いっぱいの新人くんが会社にやってきた!

いつも元気いっぱいの新人くん。

どんな仕事にも全力で取り組み、雑用も率先して引き受ける好青年の彼は、先輩たちの受けもよく、入社してすぐに会社に馴染みました。

さて、入社してから数ヶ月が過ぎたころから、少しずつ簡単な仕事を任せられるようになりました。

先輩:「分からないことがあったら、すぐに聞いてね」

新人くん:「はい、分かりました!」

という感じで先輩から仕事を渡してもらい、それに全力で取り組む新人くん。

日本中の企業で繰り広げられる先輩・後輩のやり取りです。

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新人くんの様子がおかしくなった!そして…

さてさて、更に数ヶ月後、依頼される仕事の難易度も少しずつ上がり、同時並行で進めなければならない案件も増えてきました。

この頃から新人くんの元気が少しずつ無くなってきて、以下のような会話がほぼ毎日繰り広げられるようになってきました。

先輩:「あの案件、昨日期限だったよね?どうなった?」

新人くん:「あっ、すいません、今全力でやっています」

期限に遅れることが増え始め、そのうちあらゆる仕事が期限内に終わらなくなってきたのです。

新人くんは、時には徹夜で会社に泊まり込み仕事をしているようですが、それでも期限内に終わらせることができません。

また、仕事でのミスが目立つようになりました。最初は彼をかわいがっていた先輩たちも、期限内に終わらず、かつ、仕事の質も低いため、段々と新人くんには仕事をお願いしなくなります。

そして、彼は孤立し、いつしかひっそりと職場を去って行くことになりました。

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成果を出せない新人くんに見られる2つの特徴

先述のお話は、私が複数の会社の方からお聞きした内容をミックスして作ったフィクションですが、このような状況に陥ってしまう新人くんは日本中の到る会社にいるようです。

「これだからユトリは・・・」とぼやいてみても何も解決しません。

では、なぜ意識が高くて、やる気もあるはずなのに、彼らは仕事で成果を出すことができないのでしょうか。

色々なパターンがあるとは思いますが、私が見る限り、このような状態に陥る新人くんには、大きく2つの特徴があります。

特徴1 失敗から学べず失敗の原因が自分にあるとも気がつけない

1つ目は、どんなに失敗してもやり方を変えようとしないことです。

彼らは、「うまくいかない原因が自分のやり方にある」とは思いつきもしません。その代わり、とにかく仕事の量を投下することで、問題を解決しようとします。

そもそもやり方が間違っていたり、かなり非効率なやり方をしているので、1つの仕事を完了させるために大幅な時間が必要です。

仕事を依頼する側が想定している時間に対して、2倍や3倍の時間がかかることも日常茶飯事。

抱えている仕事が少ない場合はいいのですが、複数の仕事を受け持つようになるとこれでは終わるわけがありません。

ある仕事の遅れが別の仕事の遅れに繋がり、遅れは雪だるま式に膨れあがっていき、すべての仕事を終わらせることができない、という状態に陥ってしまうのです。

特徴2 他者に対する想像力が欠如している

もう1つは、相手に対する想像力が大きく欠如しているということです。

この議事録を他の人が読んで理解できるのか、この書類でお客さんは納得するのか、この提案書で顧客から発注はもらえるのか、といったビジネスをする上で当たり前のことを、事前に考えることができません。

意味不明の言葉の羅列のまま議事録を上げてきたりするのは、サボろうとしているのではなく、それを読んだ人がどう感じるかを一切考慮できていないのです。

ビジネスは社内外の多くの関係者が存在します。自分以外の人がどう考えるのか、どう感じるのか、ということを想像出来ないがために、あり得ないような書類を平気で出してしまうのです。

仕事の「完成」という部分についての目線が大幅にズレているため、ほとんどの仕事が依頼した人から突っ返されてしまい、更に時間がかかるということになるのです。

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新人くんにキレても叱っても意味なんか無い

これまで多くの経営者が、採用の最終面接でいきいきと未来を語る新人くんに、「こいつを育てるぞ!」「逸材を見つけた!」と感じたはずです。

そして、数ヶ月が経過すると共に、経営者と新人くんは共に失望を経験し、やる気があったはずの新人くんは会社を離れていきます。

多くの場合、こうして「意識が高くて、やる気もある新人くん」の採用は失敗します。

このような特徴をもっている新人くんに対して、「きちんとタスク管理をしろ!」「なんで議事録1つもろくにかけないんだ!」と怒鳴っても何一つ効果がありません。

そもそも経営者と彼は、物事に対する認識が大きくズレているのです。

彼にやる気はあるのです。決して、手を抜いてやろうとか考えいるわけではありません。しかし、やってもやっても終わらない仕事、何度見せても修正される書類の前で、どうしていいか分からずに立ち往生しているのです。

このタイプの新人くんを仕事ができるようにアップデートするのは、かなり困難なことです。

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新人くんを適正な道へ導く唯一の方法とは?

とはいえ、雇った以上は彼が自らの意志で転職しないかぎり、会社は彼を育てるしかありません。

改善するのはかなり困難ですが、1つだけ私がアドバイスできることがあるとすれば、「とにかく1年ぐらいは、丁寧すぎるぐらい丁寧に、仕事のやり方を含めて依頼しましょう」ということです。

仕事のスキルや知識以前の問題ですので、会社としてそこまで指導してあげるべきか、という部分もあるでしょう。

やり方を変えてみることを思いつかないのですから、仕事は「やり方を含めて」依頼するしかありません。

依頼する仕事は、そのやり方に従えば、きちんと完成する内容であることが重要です。

そして、仕事のゴールはきちんと共有しておきましょう。

「議事録書いておいて」

ではなく、

「●●という目的のためにこの議事録は必要で、AさんとBさんも後で読むから、××という点をしっかり分かるように議事録を仕上げて欲しい」

という風に、仕事の依頼を行う必要があります。

「そんなことまでしてあげないといけないのか!」となるお気持ちは十分にお察しします。

しかし、彼らはあなたと別の人類、もしくは宇宙人のような存在、と言っても過言ではありません。

とにかく丁寧に手順とゴールを示し、仕事を依頼するということを続ける以外に対処法はありません。

1から10まで教える作業は面倒ですが、教える側のメリットとして、その仕事の手順や目的を客観的に考えるいい訓練になります。

メンター(先に入った社員で)に、その役割を与えるのならば、教えることの意義を先に伝えて、作業にあたってもらうことも必要でしょうし、その労をねぎらってあげましょう。

こういう新人くんが入ってきた場合、「仕事を依頼する側」も成長できるいい機会だと思って捉えてみると良いでしょう。

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ショーン

某ビジネススクールのMBAホルダーで、税理士資格保有者。
税理士資格は持っていますが、最近ではほとんどそちら側のお仕事はしておりません。

金融機関、会計事務所、CFOなど経験から会計・財務・税務分野はもちろんのこと、法務や社内システムの構築、戦略策定、プロジェクトマネジメントなどを得意としております。また、「効率化マニア」なので、タスク管理や読んだ本のデータ蓄積などを通じて、限られた時間で最大のパフォーマンスを出す方法をいつも追求しています。

コンフィデンシャルなお仕事も多いため匿名でのニュース投稿になりますが、私の経験や知識が少しでも多くの中小企業経営者のみなさまのお役に立てれば思い、精力的に投稿していきます。

なお、ニックネームおよびプロフィール写真は、私の大好きなプロスノーボーダーである「ショーン・ホワイト」から拝借しました。

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