”オキシトシン”とは下垂体後葉から分泌されるホルモンで、別名「ハッピーホルモン」とも言われ、闘争欲や遁走欲、恐怖心を減少させる効果を持っています。このホルモンを分泌する上で大事なのが”ボディタッチ”です。ビジネスシーンで、どのようにこのホルモンがもたらす効果を活用できるか考えてみましょう。
ハッピーホルモン「オキシトシン」とは何だ?
6月1日午後7時半からのNHKTV『ガッテン』で、オキシトシンのことが放映されました。
リンパ整体師の端くれとして活動し、この9月には心身の総合療法の出版を共著で出版を控える私は、偶然と思えず番組を見ていました。
というのも、私が”オキシトシン”に着目し始めたのは、母が認知症になり、娘の顔もわからず暴力を振るうようになった時のことでした。
相談した医師の勧めで、背中を擦る「タッチセラピー」をしたところ、母が「ありがとう。気持ちがいい。」と感謝し始めたので、これを毎日続けているうちに、しまいには認知症が治癒してしまったのです。
この”オキシトシン”という下垂体後葉から分泌されるホルモンは、別名「ハッピーホルモン」とも言われ、人間関係がうまく行っている時ほど、闘争欲や遁走欲、恐怖心を減少させるホルモンです。
スウェーデンの医学界で研究が進んでおり、国民の大半がこのホルモンの効果を良く知っています。
人間同士が握手したりハグしたりすると、オキシトシンが出てハッピーな気持ちになるのですが、外人と比較して日本人は余りハグする習慣が無いですから、なかなか効果を感じる場面が少ないものです。
そこで今日は、仕事に生かせる、他者からオキシトシンを引き出す方法をご紹介しましょう。
ボディタッチが難しいなら握手から始めよう
通りすがりの人をアンケート調査に引き込むときには、ちょっとだけタッチしてからアンケートをお願いすると、何倍もの効果が上がることが実験からわかっています。
とはいえ現代は、体に触れるとセクハラだ何ハラだと言われる、世知辛い時代でもあります。(異性間だとなおさらです。)
そこで私は、社内外で積極的に握手することをおすすめしています。
私の行きつけのお蕎麦屋さん「さんじ庵」が、横浜線の「八王子みなみ野」駅前の川沿いにありますが、繁華街と反対側なので苦戦していました。
そこの女将さんは現状を打破するために、1年間で千人のお客さんと握手する目標を壁に貼って、実際に握手をし続けました。
その結果、何が起きたかというと、親しみ深い女将さん目当てで、お店のファンがどんどん出来ました。今では大変盛況で、予約客でなければ入れないこともあります。
私の日体大の先輩で、NHKラジオ・テレビ体操の指導者をしている長野信一氏は、たまに会うと、私が2年後輩なのに「佐藤君、しばらく。元気でしたか?」と私の右手を両手で包む握手をしてくれます。
日本全国の朝のラジオ体操の指導に行くと、先生ぶらず低姿勢で関係者と握手し、主催団体の代表者からの評価が良く、何度も招待されています。
握手で相手にオキシトシンが出て、相手をハッピー状態にしていることを無意識で行ってきたんでしょう。
相手の立場を踏まえて積極的にボディタッチ
経営者であれば、例えば、社員とコミュニケーションの手段として、背中に手を置くとかポンポンと「頑張ってる!」などのボディコミュニケーションを取るのはいかがでしょうか?(女性の場合は、やはり褒めるときに握手の方が良いかもしれません…)
社員に、オキシトシンを分泌するきっかけを作ってあげましょう。
お客様商売ならば、おしぼりを直接手で渡す、品物を見せる時にそっと触れるとか、相手が疲れているようなら肩を揉んであげるとか、取引先の人なら長めに握手するとか、相手の立場を踏まえて考えてみましょう。
ちなみに私も、整体師養成講座でいつも、患者さんの松果体に心のタッチをし、リンパマッサージを丹念にやるように指導してきました。
「技が出ない時は、痛い所を手のひらで千回さすれ!」と言いますが、まさにボディタッチは重要なコミュニケーション手段なのです。