新パナマ病でバナナが消える?!ご安心を。バナナは消えません。

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 直近「新パナマ病」にバナナが感染し、バナナが日本の食卓から消えるのでは?というニュースが世間を駆け巡っています。しかし、日本の食卓からバナナが消えるような事態は起こらないでしょう。その理由を新パナマ病の発生要因や、バナナの世界マーケットから考察し、今後予想される展開を解説いたします。

新パナマ病で日本の食卓からバナナが消える?

 直近、世界中で「新パナマ病」がバナナに大流行しているため、日本の食卓からバナナが消えるのでは?というニュースが世間を駆け巡っています。

 バナナは日本人が一番消費するフルーツであり、輸入に90%を依存し、中でも輸入シェアの70%を占めるフィリピンで新パナマ病の深刻な被害が出ていることから、多くの方が不安を抱いているようです。

 しかし、結論から申し上げますと、おそらく日本からバナナが消えるような事態は起こらないでしょう。

 なぜ日本からバナナが消えないのか?

  • 新パナマ病とは何か?
  • 新パナマ病が発生している理由
  • 新パナマ病で日本からバナナが消えない理由
  • 今後、消費者はどのようなバナナを選択していくのか?

 という4つの論点に基づきご説明いたします。

バナナに被害を及ぼす新パナマ病とは一体何?

 もともと、パナマ病とは1960年代に発生したバナナ特有の病気であり、その当時流通していた「グロスミッシェル」という品種を、根絶やしにした病気です。

 木や葉がカビ菌に汚染され「シガトカ病」という病気になると、この菌は木を伝って地面を汚染します。

 一度土壌が菌で汚染されると、木はことごとく枯れてしまい、その圃場(ほじょう)では2〜30年の間、バナナが作れなくなってしまいます。

 この病気に強い品種として開発されたのが、現在流通している「ウィリアムズ」という品種のバナナになります。

 大量生産が可能で、生産技術の効率化も進んだことから、バナナは1970年代以降、一気に値段が安定して、日本の食卓に欠かせないものとなりました。

 今回発生した「新パナマ病」は、このウィリアムズという、旧パナマ病に強い品種に対して同じ原理で起こった伝染病になります。

 ウィルスと薬の関係と同じで、段々と菌も耐性をつけて強くなり、現在流通しているバナナに襲いかかったというわけです。

パナマ病が流行している原因はどこにあるの?

 現在、世界中で新パナマ病の汚染が拡大しているような言われ方が主流ですが、実際に新パナマ病が大流行している地域は、フィリピン(生産量世界3位)とエクアドル(生産量世界5位)になります。

 世界一位の生産量を誇るインド(意外ですよね)を始めとする他の国では、新パナマ病が大流行という状況は見られていません。

 なぜ、フィリピンとエクアドルなのか?それは両者のバナナに関する密接な関係にあります。

 フィリピンで植えられたバナナの苗(種)は、エクアドルから輸入されて生育されたものが多く、これが両者が海を挟んでいるにも関わらず、同時期に新パナマ病の流行する要因と考えられています。

 また、この2国は熱帯に属する国ですが、冬の3ヶ月間全くと言って良いほど雨がありませんでした。

 カビ菌は、極度に乾燥した環境で発生しやすいのですが、園地管理の悪いところでシガトカ病が発生して、カビ菌に対する処理が遅れたことにより、土壌汚染が進んだと言います。

 話は少し脱線しますが、バナナは山で栽培されるフルーツです。

 そして、

  • スーパーハイランド:標高7〜800m以上
  • ハイランド:標高600m付近
  • ミッドランド:標高400m付近
  • ローランド:標高200m付近

 というように作られる場所で区分があり、区分で味や品質に明確な違いが出ます。

 もちろん標高の高い場所(スーパーハイランド)で作られるバナナほど、寒暖の差で美味しくなり、過酷な環境ゆえ、生産コストもかかります。

 対して、標高の低い場所(ミッドランド・ローランド)で作られるバナナは、なだらかな土地で作られるわけですから、大量生産に徹しており、寒暖の差も少ないため、スーパーハイランドのバナナより品質は劣ります。

 ゆえに、スーパーで特売に並ぶバナナは大体が、ミッドランドかローランドで栽培されたもの、スーパーハイランドのバナナがそれらの2〜3倍の売価となっています。

 本旨に戻りますが、現在新パナマ病が大流行しているのは、フィリピンでもミッドランドとローランドがメインです。

 菌は大雨が降ると、山の斜面を伝って下に流れていきますから、ミッドランドやローランドの土壌ほど汚染されやすい状態であり、スーパーハイランドほど、畑の土壌汚染は見られません。 

 「バナナが無い!」「バナナが消える!」と騒がれているのは、ミッドランドやローランドで栽培されている、日本だと1房100円〜200円程度のバナナのことなのです。

 実際に、フィリピンのミッドランドやローランドで作られる生産コストの安いバナナは、今後生産量が落ちていくことでしょう。

それでも日本からバナナが消えない理由とは?

日本人がメインで食べているフィリピンの安売りバナナは減少していく。

それでも日本の食卓からバナナが消えることは無い。

もっと言えば、溢れるほどのバナナが、これから日本へやってくる。

 一見、矛盾したロジックに感じられますが、上記のように考えても妥当な理由が実はあります。

 それは、多くの商社がフィリピンのバナナ減産を予測し、新パナマ病の被害が殆ど出ていない、他の産地からバナナを輸入するべく、既に調達活動を行っていることにあります。

 彼らが開拓している産地とは、メキシコ(生産量世界12位)、インドネシア(同世界6位)などの国です。

 特に私達が今後、メキシコのバナナを見る機会は、かなり増えていきそうです。

 2005年に締結された、日本・メキシコEPA(日本メキシコ経済連携協定)により、来年の4月からメキシコのバナナは関税が撤廃され、今までよりも3〜40%近く安い価格で、日本に入ることになるからです。

 アボカドやマンゴーで、日本人はメキシコ産のフルーツに慣れているため、産地に対する消費者の親和性が高い点にも期待が集まっています。

 ただし、メキシコから日本にバナナが届くまで3週間かかり(フィリピンは1週間)、品質面のリスクは非常に大きいです。

 メキシコ産バナナの品質が悪ければ、バナナの相場は、むしろ暴落する可能性があります。

 インドネシアのバナナは、量はあるものの、まだ品質的に日本人向けのバナナを作る技術が進んでいません。おそらく安売りバナナに特化した輸入量の増加が見込まれます。

 大半のお買い得バナナは、徐々にフィリピンから他産地へシフトしていくでしょうが、これらを踏まえると、現在マスコミが騒いでいるような「バナナが日本の食卓から無くなる」という現象は、まず起こらないでしょう。

消費者はどんなバナナを選択するようになる?

 バナナが食卓から無くならないとして、我々消費者はどんなバナナを選択していくようになるのでしょうか?

 一つは、安いバナナが無くなることは、社会的ニーズとしてあり得ませんので、安いバナナが欲しい消費者は、今後他産地のバナナを購入する機会が増えていくことでしょう。

 ただし、フィリピンの安いバナナと比較して、他産地のバナナが日本人の味覚に合うかは、少し疑問が残ります。

 というのも、日本人の舌は非常に肥えており、もっちりとして香りが強い台湾・エクアドル系統のバナナに慣れているからです。

 フィリピンのバナナ生産者も、日本人の舌に合わせた系統のバナナを、半世紀に渡り開発してきました。

 一番心配な点は、流通面でも、フィリピンからはバナナが1週間で届くところ、メキシコの場合、輸送に3週間かかるため、品質維持に商社がコストをかけることが可能なのか?ということです。
 
 望まない最悪の展開は、コストを量でカバーするため、商社がバナナなら品質問わず、何でも日本に輸入することです。

 事情説明もなく、安いからという理由で、美味しくないバナナを消費者が購入した結果、バナナ離れが進めば、誰も得をしない負のスパイラルしか生まれないことになります。

 日本にバナナを輸入する商社には、採算コストを維持しながら、自社の販売するバナナがどのような流通過程で日本に入ったかを説明する、高度なモラルが求められます。

 そしてもう一つ、美味しいバナナを食べたい消費者の方は、これまで通りスーパーハイランドのフィリピン産バナナを選んでいくことでしょう。
 
 これも先述の通り、スーパーハイランド(特に標高1,000m付近)では、パナマ病の影響が殆ど出ていませんし、価値を認める日本人消費者のニーズがあるからです。

 何より、この近辺で生産されているバナナは、生産者の生産技術レベルも高く、地の利を得て非常にもっちりとして香りの高い、濃厚なバナナを日本人向けに生産しています。

 これらの事実を踏まえて、読者の皆さまが加熱する報道に不安を抱かず、安心してバナナをお召し上がりいただければ嬉しく思います。

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