2015年まであと一週間に迫る。仕事も佳境に入るか、一段落という経営者も多いことと思う。一息つけるタイミングで、来年の経済見通しを立てるにあたり、あらかじめわかっている経済イベントを効率よく把握しておきたい。相続税増税、北陸新幹線の開業、地方統一選挙、終戦70周年など経済へ影響を与えるイベントが目白押しだ。
一年の計は元旦に 経済イベントを把握しよう
もういくつ寝ると、お正月。お正月まであと一週間である。仕事もラストスパートをかけるか、既に一段落という経営者も多いことと思う。皆お正月はゆっくり休まれることと思う。
「一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり」という故事が示すように、余裕のある正月は、自社や自分自身の方針をリラックスしながら考えられる有意義な時間である。
2015年の経済に影響あるイベントを把握して、来年の計を建てよう。
2015年経済イベント10選〜前半編〜
1)相続税増税が始まる 1月
平成27年1月1日から相続税が増税される。最高税率が50%から55%に引き上げられ、非課税の範囲もグッと縮まる。次世代が負担する税の範囲が大きくなり、現在アベノミクスの恩恵を受けている富裕層にも負担が増える。消費拡大にはマイナスの影響がある。また、不動産では相続税逃れの売却が加速化するため、価格の下方圧力がかかりやすくなるだろう。
2)北陸新幹線開業 3月
新幹線が開業する金沢駅は、地方経済の今後を占うものさしとなる。
2015年3月14日に北陸新幹線の「長野-金沢」間が開業し、東京から金沢が線路で一本につながる。3月末から放映されるNHKの連続テレビ小説『まれ』の舞台が、新幹線が新しく通る石川県を舞台にするなど、北陸新幹線開業に伴う経済効果は、金沢市だけで約80億円、石川県全体で約128億円にまでなると言われており、地方再生を占う実験舞台となる。※1ただし、先に開業している「東京-長野」間では2000年に23,266人だった乗客数が2013年には21,165人まで落ち込んでいる。当初は盛況が予想されるが、継続できなければ1兆8,000億にも及ぶ巨額建設費用が無駄金となってしまう。2016年3月に開業予定の北海道新幹線の延線方針にも大きな影響を与えるだろう。
3)全国地方統一選挙 4月
12月の衆議院解散とその後行われた選挙で自民党は圧勝した。第三次安倍内閣が発足してちょうど3ヶ月が経過したときに、アベノミクスに対して国民がどのような評価を下すかがわかる、2015年最初の政治大イベントとなる。自民党が圧勝となれば、更に金融緩和と増税の方針が加速化することになる。12月の選挙は野党にとってみれば「予想だにせぬタイミング」であった。「維新の会」の橋下徹氏が、この選挙を目指して代表の座から一時離れることを先日発表するなど、野党がこの選挙にかける意気込みは強く、自民党の足元をすくう結果が出ればアベノミクスが膠着する大波乱もあり得る。
4)春のFOMCで政策金利はあがるか? 4月〜6月
人口減、消費減、増税、といったマイナスの日本株価を支えているのは、アメリカの好景気に他ならない。アメリカの好景気を支えてきたのは、リーマンショック以降の大胆な金融緩和政策だ。FOMC(米連邦公開市場委員会)では政策金利の利上げを2015年春頃まで「しばらく」見送ることを発表しているが、2014年第四四半期のGDPが前年比で大幅な上昇を見せれば、段階的な金利引き上げがこの時期に始まる可能性が高く、一時的な消費や雇用減も起こりうる。「アメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪をひく」という諺があるように、アメリカの経済政策が日本の経済に大きな影響を持っていることを忘れてはいけない。
5)終戦70周年 中韓との関係や如何に? 8月
終わりなき靖国論争を終戦70周年の日本がどう迎えるかは経済にも影響する。
2015年は日本にとって太平洋戦争(大東亜戦争)終戦70周年を迎える年である。来年の終戦記念日を政府(安部首相)がどのような対応で迎えようとするのかは、経済にも大きな変動を与える。昨年末に安部首相が靖国神社へ参拝した際には、中韓はもちろんアメリカやロシアまでが遺憾の意を表明する事態となり、日本の外交は孤立した。来年はTPP交渉が大詰めを迎える年である。どのように日本政府が対応するかで、企業動向にも大きな影響が及ぼされる。
ロボットやウェアラブル端末が本格お目見え
その他企業の動きとしては、ソフトバンクが2月より人工知能を備えた家庭用ロボット「PEPPER」を発売開始し、春先からはアップルを筆頭にウェアラブル端末(スマートウォッチ等)が続々と発売される。次世代のイノベーションがどのように起こるのかにも注目したい。
明日は2015年後半の経済に関係するイベントをご紹介する。
※1 政策投資銀行 北陸新幹線金沢開業による石川県内への経済波及効果
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/hokuriku/pdf_all/hokuriku_1303_01.pdf