「正社員を雇うと潰れる」パッと聞いた方で、実感のある方は、もしかすると中小零細企業の経営者かもしれません。それくらい、中小零細企業にとって人を雇用することは、リスクと隣りあわせなのが現実です。この問題を増長しているのは、ズバリ社会保険制度だと、キミアキ先生は斬りこみます。社会保険制度の矛盾とは?解説していただきます。
正社員を雇うと潰れる!時給3千円払うの無理!
今日は「正社員を雇うと潰れる」という、ショッキングなお題で話をしたいと思います。
私は常々「正社員さんを雇って、社会保険制度に入れて、それから少しばかりのボーナスを払うだけで、時間給にすると3,000円になってしまいますよ。」という話をしています。
仕事が全く出来ない…な〜んにも出来ないような人でも、一旦正社員さんとして抱えてしまうと、最低でも時給で2,000円かかります。
今、中小零細企業が社員さんを抱えていくというのは、はっきり言って地獄です。
私もですね、帳簿を見ていて、あ…これはもう誰か人員調整しないといけない、という会社さんがすぐわかります。
そして、その会社さんが人員調整出来るのかな…といつも不安になります。
我々が不安に思うように、社長さんはもっと不安なんですね。もっともっと不安な状態で過ごしてらっしゃるのが、悲しいかな現実だったりします。
経営者は社員に高い給料を払いたいのが本音
中小零細企業経営者の方々、本当に皆さんに共通して言えることは、皆さんが従業員さんに高い給料を払いたいと考えていることです。
これは皆さんに共通していますが、払いたくても、払えない方が非常に多いのです。
例えば、従業員さんに「給料20万で働いて下さい」とお願いしますよね。
でもこの場合、従業員さんのお給料は何故か、税引き前に取り分が17万円になってしまうんですね。
それで、こっから更に税金引かれるんですからね。
20万円で働いてくださいと言って、従業員さんを抱えます。そうすると、その従業員さんのお給料は、税引き前に17万円になってしまうんです。
なんで?
この原因は、社会保険制度にあります。
社会保険制度が有るから、給料20万円で働いて下さい、という形で正社員さんを雇うと、社会保険制度に6万かかるんですよ。
だいたい3割かかりますから。その3割分をだいたい折半して、それぞれが負担しているんです。(事業主負担が若干多いんですが)
予算組としては、だいたい3割かかると考えていればよいですから、税引き前の状態でも取り分が少なくなるんですね。
社会保険制度を変えない限り社員は雇いにくい
諸悪の根源は、この社会保険制度なんです。
この制度のせいで、今の中小企業では正社員を雇うのが、非常に非効率になってしまっているんです。
社会保険制度の他にも、「従業員のみ守って、事業主は守らない」という法律がありましてですね、今の中小零細企業では、正社員として人を雇えないような法律になってるんです。
ただ、これはたぶん変わります。
何故かと言うと、法律を変えないと、中小零細企業は絶対に正社員を雇わない、という選択をするようになってしまうからです。
そりゃあコアの部分はありますよ。事業のコアの部分は有りますので、それにのみ正社員を充てて、他は全部非正規を雇うようになります。
20万で働いて下さいってお願いして雇って、従業員本人は税金引かれる前に給料17万なわけですから、この状態に不満を抱かない社員さんがいますか?って話ですよ。
いないです。絶対不満が出るんです。
ところが事業主はこれだけで23万。他に通勤交通費がかかります。
それから人っていうのは、いるだけでお金がかかります。そんな状態で雇っていく事業主には、常に不安がまとわりつくのです。
これが今の中小零細企業の実態です。
社会保険未加入の企業に迫り来る厳しい現実
ボーナス月は、どこの企業さんも泣けなしのお金で払います。そうすると社会保険の支払い請求が、また別枠で来るわけですよね。
もう地獄です。
今の中小企業は、この社会保険制度のせいで死にかけています。
それで、社会保険制度入っていない会社で、辛うじて雇用を維持している所も、世の中にはワンサカあります。
例えば、社会保険制度に入っていないが故に、5人の雇用を守れているとしましょう。
今、社会保険事務所はそういう社会保険制度に入っていない所の追い回しをやってます。追っかけ回してます。
強制的に入れ!入りなさい!入らないと罰しますよ!と容赦なく迫ります。
では社会保険制度に入ったとしましょう。今5人を雇用しているところ、間違いなく2人は減ります。社会保険をまかなうお金は無いですから。
それで残った3人は社会保険に入りますが、今まで5人でやっていた仕事を、3人でやらないといけなくなります。
それでも手取りの給料は変わりませんからね。こんな状況が、現実には多くの中小企業で繰り広げられています。
じゃあどうすれば良いの?という話ですが、この社会保険地獄は、雇用主自体も味わいたくないものです。社員さんを雇わないで済むんでしたら、最初から雇わないで済むビジネスモデルの構築を考えてみてください。