2015年業績向上の鍵は「1点贅沢主義」

経済

 帝国データバンクの「景気見通しに関する意識調査」によると、来年の景気見通しが良いと回答する企業は昨年の2分の1へ急減したようだ。一方で景気回復に必要な政策は「個人消費拡大策」という解答が47.4%にもなった。個人消費拡大の解決策として「1点贅沢主義」が注目される。自社、商品に付加価値を付けられるか否かが浮沈の鍵となる。

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来年の景気見通し 企業は「下向き」回答

 帝国データバンクが12月11日(木)に発表した「 2015 年の景気見通しに対する企業の意識調査 」によると、.2014 年の景気は「悪化」局面にあったと判断した企業が28.9%に達し、2015 年の景気見通しについては、「回復」見込みと答えた企業が、2014 年見通しから 2分の 1 に急減したという。※1
 
 来年の景気見通しが悪い理由として実に50.6%の企業が「円安」をあげており、景気浮沈の鍵として「個人消費拡大策」を提示した企業の割合は47.4%にもなった。
 
 感度の高い読者の皆様も既に理解されているように、円安による原材料価格の高騰時に、薄利多売のビジネスフィールドを主戦場に選ぶことは、死を選ぶも同然の行為だ。
 
 そこで来年のビジネスキーワードとして注目され始めているのが、消費者の「1点贅沢主義」を取り込む動きである。

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「1点贅沢主義」の裏にラチェット効果あり

 「1点贅沢主義」とは、限られた家計の中で、何かの消費を削る代わりに、自分が好むものには惜しみなくお金をかける消費者の性向である。
 
 わかりやすいところで言うと、女子大生がお金もないのにルイ・ヴィトンの何十万円もするバッグを買ったり、ディズニーランドで喜んで財布のヒモをゆるめてお買い物するといった行動が「1点贅沢主義」の典型例だ。
 
 この行動には理由がある。
 
 マクロ経済学の「ラチェット効果」が働き始めているからだ。
 
 ラチェット(レンチや歯止めの意)効果とは、物価が上昇して実質的な購買力が低下したり、増税などで可処分所得が減少したりしても、貯蓄を取り崩すなどして、消費者がそれまでの消費水準をしばらくの間維持しようとする行動を示す法則である。
 
 人間は一度味わった贅沢を忘れることができないため、付加価値のついた自分の好きな商品にはなぜかお金を払ってしまうのである。
 
 今年からそれら消費者の性向を踏まえて、大企業は既に動き始めている。例えばスターバックスジャパンは、9月から店舗限定で1杯2,000円のコーヒーを販売し始めた。トヨタ自動車が来年から販売開始する水素自動車「MIRAI」に至っては、価格が700万円を超えるにも関わらず、既に受注殺到となっている。
 
 景気を見据えたこれら大企業の商品開発は、大きなヒントを与えてくれる。

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消費者目線と独自のイズムが必要

 とはいえ、何でもかんでも高くすればよいということは断じてない。付加価値がついた商品でヒットするものには必ず「ストーリー」がある。消費者は商品そのものだけではなく、「夢」や「商品に込められた哲学」にお金を払うからだ。商品の性能がよいことは言うまでもない。
 
 ぜひ年末の仕事が落ち着いた時に、来年のトレンド「1点贅沢主義」に合わせて自社でどんな活路が開けるのか、考えてみよう。
 
 ※1 帝国データバンク「 2015 年の景気見通しに対する企業の意識調査 」
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p141204.pdf

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