営業に行ったは良いものの、初対面の顧客にいきなり売り込みをかけてしまう。多くの営業マンがわかっていてもやってしまうこのパターン、なぜ頻発するのでしょうか?その理由は営業の「質」を高めるために欠かせない、営業プロセスと営業サイクルが組み立てられていないことにあります。大手メガバンクでも組織営業のコンサルティングを手掛けるプロに解説してもらいます。
営業の成果に直結する「質」を深く説明しよう
営業の結果=営業「質」×営業「量」
これは以前に書いた、デキない営業マンが必ず結果を出すようになる魔法の営業方程式で、ご紹介した営業が成果を出すための方程式です。
営業の「量」とは、訪問件数、訪問頻度、一訪問あたりの滞在時間といった数字で表せるものです。
営業の「質」とは、一訪問の中身を濃くすること。強いて言うならば、その訪問目的が何なのか?ということですね。
ご周知の通り、営業の「質」と営業の「量」が高まれば、良い営業結果が得られるのは当然のことです。
そこで今回は、通常ないがしろにされている営業「質」についてもう少し詳しくお伝えします。
初回の営業で保険の営業マンがこう言ったら…
営業の最終目的は「受注」を頂くことです。
しかし、この「受注」に至ろうと思いますと、外してはいけない営業のステップ(段階)というものがあります。
今仮に私が保険の営業マンだとして、今日初めてあなたとお会いしたとしましょう。
もし私があなたにこんな挨拶をしたら、貴方はどう感じますか?
「○○さん、初めまして。
今日お会いできてよかったです。
○○さんにぴったりの保険が発売されています。
~~で、~~という内容の保険です。
いかがですか?」
まず、サッと引きますよね。こんな営業で誰が保険に加入するでしょうか?
誰も加入などしないことはおわかり頂けると思います。
なぜならば上記の会話からは、
- ・営業マンである私がどんな人物で、どんなプロフィールなのか?
- ・信頼できる人物か?
- ・あなた(顧客)が今結婚されてらっしゃるのかどうか?
- ・あなたにお子さんがいらっしゃるのかどうか?いらっしゃるならば何人いらして何歳なのか?
- ・今あなたがどんな保険に入っておられるのか?
- ・あなたは今の保険について詳しく理解しているのか?理解しているとして、その内容にどんな不安を持ってらっしゃるのか?
この様なことを何も聞き出さずに、理解もせずにいきなり保険の売込みをしているんです。ですから、売れない営業になってしまうのです。
そんなこと当たり前だ!とお叱りを受けそうです。
しかし実は、ほとんどの営業がこういった営業をしているのです。
初回の訪問目的は「人間関係構築」のはずです。にもかかわらず殆どの営業マンは、初回に会った人にいきなり売込みをかけているのです。
これはBtoBビジネスであろうがBtoCビジネスであろうが、外せない事実です。
これでは売れるはずがありません。
営業プロセスの明確化が準備の質を高めていく
営業には、
- ・人間関係構築
- ・現状把握
- ・ニーズ把握
- ・提案
- ・成約
といった営業のステップを確実に上っていくことが、成約を勝ち取るセオリーとして求められます。
この営業のステップのことを「営業プロセス」と言い、この「営業プロセス」の一つひとつ(人間関係構築~契約)が訪問目的なのです。
この訪問目的が明確になれば、通常はその訪問目的を達成するために事前準備をします。
次回の訪問目的が「提案」ならば、通常は何をするでしょうか?
提案書を作成するはずです。そしてその提案書をもとにうまくお客様に伝わるようにリハーサルをし、修正点を把握して微調整をして訪問するはずです。
訪問目的が明確になれば事前準備をすることになります。
この事前準備をBefore営業、実際にお客様先で行う活動をOn営業、帰社してから行う活動をAfter営業と言います。
Before営業、On営業、After営業のことをまとめて「営業サイクル」と言います。
営業サイクルを共有して組織的な営業力強化を
この「営業サイクル」は、「営業プロセス」ごとに設定され、そして全て営業部門活動の共通ルールとして設定されていることが重要ですが、多くの会社ではその設定がありません。
ですから営業が属人的になってしまい、組織に営業力が付かないのです。
これら「営業サイクル」と「営業プロセス」を設定して、営業活動をするから一訪問の中身が濃くなるのです。
早く結果を得たいなら、営業の「質」、つまり「今回顧客の元へ向かう目的は何か?」を見定めるため、営業のステップを確認する必要があります。