少子高齢化に伴う都心回帰(またはコンパクトシティ化)や、自動車台数の増加、交通法の改正により路上駐車の取り締まりが厳しくなったことで、駐車場のニーズが高まりを見せています。この問題を解決するべく生まれたのがシェア型パーキングサービスです。代表的なサービスを3つご紹介いたします。有効活用すれば、通常の民間駐車場の半額以下で、短期に駐車場を借りられる場合もあります。
日本と不動産のシェアビジネスは相性が良い
日本人はもともとムラ社会を形成し、他人同士で何かを共有することに対して違和感を持たない国民性があるため、シェアリングエコノミー(ヒト・モノ・カネを共有する経済概念)を活用したビジネスと、日本は親和性が非常に高いと言われています。
とりわけ日本で、シェアリングエコノミーの概念をビジネスの仕組みに入れているサービスのうち、早くから浸透しそうなのが「不動産の共有」を目的としたビジネスモデルです。
なぜなら、日本の国土は狭く限られており、東京オリンピックに向けて不動産の争奪戦が、都市部の地価を押し上げているからです。
既に、余剰の個人宅と宿泊客をマッチングさせるサービス、airbndb(エアビーアンドビー)は国内でも大いに活用され、結果として条例の改正が行われたり、法律の早急な整備の後押へ向けて、影響力を与えはじめています。
都市部で不足しているもう一つの不動産が、駐車場です。
少子高齢化に伴う都心回帰(またはコンパクトシティ化)や、自動車台数の増加、交通法の改正により路上駐車の取り締まりが厳しくなったことは、駐車場のニーズを高めています。
更に民間の駐車場会社は、毎年駐車場の数を増やしていますが、それでもニーズに追いついていない、もしくはニーズのある場所に駐車場を作れていないというのが、現実です。
パーキングシェアで料金50%以下になる場合も
ここに登場したのが、シェア型パーキングサービスです。
代表的なサービスをご紹介します。
【akippa】
akippaは個人間でも簡単に、スマホ・PCで“駐車場の貸し借り”ができるオンラインコインパーキングのサービスです。
例えば、通常は4,000円〜5,000円/日は費用がかかる観光地・浅草駅近辺の駐車場が、akippaだと2,000円以内(曜日により変動あり)で借りることが可能になります。
更に事前予約が可能なので、狙った日に狙った場所へ車が止めたいという動機に対して、akippaなら対応してくれます。
駐車場オーナーは、空きスペースや自分が車を停めない時間を有効活用し、副収入を得ることが可能です。
アプリもあり、契約している駐車場の台数も豊富なので、非常に便利です。
大手・不動産仲介会社との提携や、6億円の資金調達も先週末に発表されており、今後更なるサービスの拡充が見込まれます。
【軒先パーキング】
軒先を借りてすぐにお店が始められる「軒先ビジネス」や、個人の自転車をシェアリングできるオンラインサービス「軒先シェアサイクル」を運営する、軒先株式会社が運営しているのが、「軒先パーキング」です。
1日500円の自動車保険「ワンデーサポーター」を取り扱うなど、駐車場だけではなく、ドライブに関わるあらゆる付帯サービスを、必要な範囲で切り売りしてくれるのが、同社の特徴です。
JAFと業務提携を結ぶことにより、JAFが保有する1,820万人の会員層にリーチするなど、積極的な展開が目立ちます。
【スペイシー駐車場】(2月サービス開始予定)
空いている駐車場・駐車スペースを持っている「オーナー」と、必要な時に駐車場を使いたい「ドライバー」をマッチングする、新しい駐車場シェアサービスがスペイシー駐車場です。
こちらも出発前の、最大3ヶ月前から予約が可能なので、駐車場探しや駐車場待ちからドライバーは解放されます。
PCからの利用とスマートフォンやタブレット端末(iPhone、Android端末)に専用アプリ「スペイシー」をインストールして利用することが可能です。
スペイシーは既に、国内最大級の貸し会議室・レンタルスペース予約サイトを運営しているため、駐車場とオフィスのシェアリングをコラボしたサービス運用も考えられます。法人企業に人気が出そうなサービスですね。
過当競争起こりやすいが市場は拡大予想される
今後、これらのサービスが普及すれば、
- 「人気の観光スポットに行ったけれど駐車場がない!」
- 「お客様が待っているから急がないと!路駐でいいや!」
という、ドライバーの声は少なくなって行くかもしれません。
更には、オーナーや借り主達の、
- 「なんとなく借りたけれど、駐車場代高いなあ・・・」
- 「この空いたスペース、無駄だから駐車場として収入出せないかなぁ。」
という声も、シェア型パーキングサービスが副収入をもたらしてくれることで、解決されるかもしれません。
ビジネスモデル自体は参入障壁が低く、今後も多数の企業がこの分野に進出することが予想されます。
過当競争の後、生き残るのは数社(もしくは1社)と予想されますが、シェア型パーキングサービス自体は、今後大幅な市場拡大が予想されます。