休日は、従業員にとって重要な労働条件の1つですから、年間休日について、経営者が正しく理解することは非常に重要なこととなってきます。多くの中小企業の場合、完全週休2日制を導入するのは困難ですが、変形労働時間の制度を活用することによって、法定労働時間内に業務時間を抑えて、年間休日を確保する必要があります。労使協定及び協定届等を適切に提出して、従業員と円滑に休日について話し合いましょう。
休日の多寡は従業員にとって重要な労働条件
休日は、従業員にとって重要な労働条件の1つですから、年間休日について、経営者が正しく理解することは非常に重要なこととなってきます。
求人広告でも、応募の際に求職者の皆さんがよく見ていらっしゃるのは、年間休日と、週休◯日、といった休日の欄ですよね。
労働基準法では、法定労働時間が、1日8時間、1週間40時間と定められています。(一定規模以下の特定の業種に関しては、44時間となっています。)
つまり、所定労働時間が、1日8時間の場合には、法定労働時間である、1週間40時間を超えないようにするには、完全週休2日制が必要となります。
しかし、多くの中小企業の場合、完全週休2日制を導入するのは困難と言えます。
そのため、月又は年を単位にして、平均して1週間の労働時間を40時間以下にする、という変形労働時間の制度が定められており、中でも多くの企業が利用しているのが、1年単位の変形労働時間制です。
この制度は、週休2日制は取れない場合でも、年末年始休暇やお盆休暇等の休日を加味して、1年間を平均して、1週間の労働時間を40時間以下にする制度で、1日の所定労働時間によって、必要な年間休日の日数が変わってきます。
年間休日が何日必要か法に則って計算する方法
例えば、1日の所定労働時間が7時間30分の会社があったとしましょう。
この場合に必要となる年間休日は、87日(閏年は88日)ですが、なぜこの日数が年間休日として必要かご説明したいと思います。
まず、最初に年間の総労働時間を算出します。
年間休日が87日とすると、年間に労働する日数は、
- 365日ー87日=278日
となります。
1年間に278日労働するわけですから、年間の総労働時間は、
- 278日×7.5時間=2,085時間
となります。
次に1年間に1週間が、いくつあるかを計算します。1週間は7日ですので、365日÷7日=52.14週となります。
1年間では、52.14週あるわけですから、年間の総労働時間を52.14週で割れば、1週間の平均労働時間が計算されます。
2,085時間÷52.14週=39.98時間となり、40時間を超えないこととなります。
同様にして年間休日を計算すると、所定労働時間の違いによって、年間休日は以下のように変化します。
所定労働時間8時間の場合 | 所定労働時間7時間45分の場合 | 所定労働時間7時間20分の場合 | |
---|---|---|---|
年間休日 | 105日(閏年は106日) | 96日(閏年は97日) | 85日(閏年は86日) |
ただし、ここで注意が必要なのは、1年単位の変形労働時間制の場合には、年間の労働日数に上限が設けられています。
具体的には、280日が上限の労働日数となります。
逆に言えば、年間休日は、85日(閏年は、86日)が、最低ラインとなります。
ですから、例えば、所定労働時間が、7時間の場合には、上記のような計算をすれば、必要な年間休日は、67日で、1週間の平均労働時間が40時間を超えないこととなります。
労働時間には上限あるので年間休日は85日以上から
しかし、上記のようなな場合でも、280日以上労働させることはできないので、年間休日は、85日(閏年は86日)以上が必要となってきます。
1年単位の変形労働時間制の場合には、このようにして年間休日を計算することとなります。
なお、1年単位の変形労働時間制を導入するには、従業員代表との書面による労使協定及び協定届等を、労働基準監督署に提出する必要がありますのでご注意下さい。